採用調査の完全マニュアル|必要な書類と方法、注意点のまとめ

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Employment Screening

採用調査とは

採用調査とは、採用候補者の能力や適性を確認するための調査です。経歴や資格などの「要件」、および実務能力や評判といった「適性」を確認します。採用にあたって、本当に信用できる人物であるか、また業務上での適正があるかを知りたい場合、採用調査の結果を活用できる場合があります。

なお、本記事の内容と採用調査の基本に付いて、YouTubeの動画にもまとめました。ブログでも、同一の内容を解説しています。

採用調査のカギとなる前職調査

採用調査において、最も実施する頻度が多く、なおかつ有効性が高いのは前職調査でしょう。「リファレンスチェック」とも言われるこの調査については、以下の記事の詳細をまとめています。

前職調査を合法的に行う方法と、違法な調査事例

採用調査に必要な書類

日本国内の採用調査では、職業安定法や厚生労働大臣の指針などの制約が存在します。「知らなかった」では済まされないため、調査の際はこれらの制約について留意する必要があります。

調査同意書

基本的に、採用調査を行う場合には、企業は採用候補者から調査同意書を取得する必要があります。特に、中途採用者の採用調査で最も基本となる「職歴照会」においては、採用候補者が調査に同意していることを示すこの「調査同意書」が不可欠となります。

本人による委任状

更に、入念な照会の為には、採用候補者に様々な情報開示の為の「委任状」を提出させる必要があります。所定の委任状の使用が義務付けれている場合あるため、注意が必要です。

本人の身分証のコピー

情報ソースとなるほとんどの第三者機関では、通常、本人による委任状と合わせて身分証のコピーが必要となります。

第三者開示で照会が可能な情報ソース

以下、本人からの委任状と身分証のコピーを用いて、第三者開示請求で情報収集できる情報ソースについて説明します。

しかしながら、これは制度上可能であるというだけで、実際にこれらの照会を採用候補者に強制すると、採用する職種次第でクレームを受ける場合もあります。調査の必要性は職種によって異なるからです。

なお、学歴や資格の確認が必要なときは、委任状で卒業証明書を代理請求するより、採用候補者に卒業証明書や資格証明書を提出させる方が、事実確認が容易になります。

住民票照会

市区町村役場において、住民票の請求が可能です。請求にあたって、以下の情報と書類が必要になります。

  • 対象者の氏名と住所
  • 本人の委任状
  • 代理人の身分証

住民票取得によって、年齢や住所の確認、外国人の場合は国籍や滞在資格を確認することができます。

戸籍謄本の照会

市区町村役場にて、戸籍謄本の取得が可能です。取得にあたっては、以下の情報と書類が必要となります。

  • 本籍と筆頭者の情報
  • 本人の委任状
  • 代理人の身分証

例えば、親族に反社会的勢力がいないかを確認する場合、本人に戸籍謄本を提出させるか、戸籍謄本を代理取得することにより、近親者の氏名や住所等の情報を確認することができます。

ただし、本籍地の情報は、社会通例として差別につながる情報であるとみなされています。このため、合理的な理由がない場合、あえて戸籍謄本まで取得する必要性は高くありません。

納税証明書の照会

市区町村役場で、納税証明書の請求が可能です。請求にあたって、以下の情報と書類が必要になります。

  • 対象者の氏名と住所
  • 本人の委任状
  • 代理人の身分証

納税証明書を複数年照会すると、過去数年の対象者の年収を確認することができます。

犯歴照会

原則的に、日本の警察の犯歴記録は完全非公開です。本人ですら、開示を受けることができない種類の情報となります。しかし、一般的には知られていない例外があります。海外への移住や海外就職の場合に限り、本人が犯歴記録(警察経歴証明書)を取得することが可能です。この警察経歴証明書は、婉曲的に渡航証明書とも呼ばれています。

日本国内では完全非公開の建前ですが、海外では犯歴確認は一般的であり、なおかつバックグラウンド調査の根幹であることは、日本政府もわかっています。その為、渡航者に限り、犯歴の開示請求に応じています。警視庁のウェブサイトには、渡航証明(犯罪経歴証明書)についての詳細があります。

直接のソース(警察)から犯歴の取得ができない以上、我々は、メディアサーチを犯歴確認の代替手法とするしかありません。

また、犯歴記録の代替手法としては、反社会勢力の調査があります。日本政府の反社会勢力の定義は、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」です。反社会勢力の調査も、原則として、リスクメディアサーチの手法で行われます。

しかし、そもそも反社会的勢力の人物の調査に関しては現状、限界があります。反社チェックについての詳細はここちらの記事をご覧ください。

訴訟記録

訴訟記録は公開が原則ですが、実質、日本ではバックグラウンドチェック目的での訴訟記録の照会は難しい状況です。

現在のところ、最高裁判所の判決記録のみ一般公開されています。最高裁判決であれば、裁判所のウェブサイトにて氏名検索が可能です。

訴訟記録の照会が難しい理由

最高裁判所以外の裁判所では、事件番号または原告と被告両方の情報を提示することで、はじめて裁判記録の閲覧が可能となります。裁判所では、当日の事件番号・原告と被告の名前の基本情報が一覧で掲載されます。しかし、これは当日の裁判の情報が公開されているのみで、過去の記録を照会することは不可能です。

事件番号または原告と被告の名前を確認するには、毎日裁判所に行き、当日の事件情報を収集してデータベース化する必要があります。この作業を毎日継続するには、根気と資金力が必要です。

事件番号や原告のと被告の氏名を知る代替方法は、リスクメディアサーチです。その訴訟がメディア上に存在していれば、その記事で事件番号や原告と被告の氏名を確認できます。

運転記録照会

運転記録の照会は、自動車安全運転センター(Japan Safe Driving Center)で行うことができます。

債務照会

以下3団体で、クレジット情報の照会が可能です。

CIC (CREDIT INFORMATION CENTER)
https://www.cic.co.jp/mydata/index.html

JICC(日本信用情報機構)
https://www.jicc.co.jp/kaiji/

Japanese Bankers Association (銀行協会)
全国銀行個人信用情報センター
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/

破産歴

官報に破産記録が掲載されます。官報は公開情報です。

官報
https://kanpou.npb.go.jp/

調査できる項目とできない項目

企業側は採用候補者について、業務に必要となる資格などの要件、および能力などの適性に関する調査を行うことができます。しかし、社会階級に関する調査については行うことができません。

また思想や宗教に関することや、労働組合に関することなど、就職差別につながる恐れがある調査は実施することができません。

採用調査を規制する法律

少し込み入った内容になりますが、採用調査を規制する法律についてまとめました。

職業安定法

(求職者等の個人情報の取扱い)

第五条の四 公共職業安定所等は、それぞれ、その業務に関し、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

参照元URL: https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/h241218-03.pdf

労働大臣指針 平成11年労働省告示第141号

法第5条の4に関する事項(求職者等の個人情報の取扱い)

1  個人情報の収集、保管及び使用

(1)  職業紹介事業者等は、その業務の目的の範囲内で求職者等の個人情報(以下単に「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないこと。ただし、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないこと。

イ  人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項

ロ  思想及び信条

ハ  労働組合への加入状況

(2)  職業紹介事業者等は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないこと。

参照元URL: https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html

厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」

就職差別につながる恐れがある14事項

1. 「本籍・出生地」に関すること
2. 「家族」に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
3. 「住宅状況」に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
4. 「生活環境・家庭環境など」に関すること
5. 「宗教」に関すること
6. 「支持政党」に関すること
7. 「人生観・生活信条など」に関すること
8. 「尊敬する人物」に関すること
9. 「思想」に関すること
10. 「労働組合(加入状況や活動歴など)」、「学生運動などの社会運動」に関すること
11. 「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること
12. 「身元調査など」の実施
13. 「全国高等学校統一応募用紙・JIS規格の履歴書(様式例)に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙)」の使用
14. 「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断」の実施

外国人や海外在住者の調査

西側諸国やアメリカ英語圏諸国では、指紋収集と同時にバックグラウンドチェックの結果を本人が取得する形式が主流です。外国人や海外在住者の調査の場合、滞在国でのバックグラウンドチェックは採用候補者を通して行うことができます。

例えばアメリカの場合、採用候補者本人がFBIに所定書類や指紋記録を送り、バックグラウンドチェックの結果を取得することができます。なお、経歴に関しては、採用候補者に年金手帳のコピーを提出させることにより、そこに記載のある過去の職歴が確認できます。

海外で主流の採用調査手法である、リファレンスチェックの事例もご参照ください。

採用調査はJapan PIにご相談ください

前述の通り、採用調査には各種法律を理解し、情報公開制度を有効に活用する必要があります。さらに、職種や採用形態、対象者の属性や国籍などによって、考慮しなければならない項目が無数に存在します。採用調査Japan PIでは、採用調査のプロが皆様のご相談を受け付けております。

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