木村さんの依頼を受けた調査員が、隆さんが実家に残していった本人のPCの履歴、キャッシュカード、クレジットカード、携帯電話などの遺留品のチェックを行いました。手がかりをすべてあらっていったところ、銀行口座から現金が引き出されていたことがわかりました。
おおよそ3日に一度のペースで、1万円から3万円が引き落とされていました。場所は静岡市であることが判明しました。引き落としが途切れないために、調査員と相談を行い、隆さんの両親に銀行口座に定期的に補充をしてもらいました。
早速、静岡での捜索を開始しました。隆さんはゲームが好きで、ネットカフェで一日中ゲームをして生活しているようでした。今回のケースでは、現金の引き出し箇所が分かっていたため、周辺の店舗に絞って捜索することができました。静岡市内の5つのネットカフェが浮かび上がり、ローラー作戦で調査を開始しました。本人に気づかれ、逃げられる可能性があるため、捜索の貼り紙などは行いませんでした。
しばらくして、あるネットカフェで隆さんを発見しました。しかし、ネットカフェは個室制であり、出入りを確認できただけで部屋番号などはわかりませんでした。
依頼者であるご両親に、隆さんの発見を報告したところ、青森から新幹線ですぐに現地に駆けつけました。調査員は、隆さんが移動しないように監視しながら、ご両親をその場所に手引きしました。その間、隆さんは外出し、途中でネットカフェをはしごしたり、パチンコに行ったりして場所を変えていましたが、到着したときは拠点とするネットカフェに戻っていました。隆さんがネットカフェからなかなか出てこないことと、個室に住み込むのが困難かつ、どのルームナンバーにいるか開示してくれなかったため、調査員が工作を行いました。受付の店員に、「親族が危篤になった」と言って呼び出してもらい、隆さんが現れてから喫茶店で待機していたご両親を呼び出し、無事、対面に成功しました。
隆さんも両親の顔を見て安堵し、田舎に戻ることを決意しました。静岡駅まで送迎し、任務を完了しました。