今更聞けない、バックグラウンドチェックって何?

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企業のグローバル化に伴い、探偵・興信所の使う用語である「バックグラウンドチェック」や「バックグラウンド調査」という言葉をよく聞くようになりました。日本では、この言葉の定義がはっきりしていません。従来からある身辺調査や身元調査や採用調査とは、若干意味が異なります。

3種類のバックグラウンドチェック

個人のバックグラウンド情報を取得することは、以下3つの状況でよく発生します。

  • 従業員の採用調査 
  • 訴訟の為の身元確認
  • M&A等のデューデリジェンス 

バックグラウンドチェックの依頼で多い項目は「経歴チェック」ですが、経歴チェックの種類もいくつかあります。例えば、以前の職歴、住所歴、資産、訴訟履歴などを確認するケースもあり、また単に犯歴だけを確認する場合もあります。これらすべてを調べる必要がある場合もあります。

必要な情報量をどう決定すればいいか、どのくらいの範囲を調べる必要があるか、事前に判断しなくてはなりません。

今回はバックグラウンドチェックが英語圏の調査会社でどのように定義されているか、また、どのような目的で行われるかについて解説します。ここでは、アメリカでのバックグラウンドチェックの3つの主要なタイプを紹介します。

採用調査(雇用前の身元調査)

このバックグラウンドチェックは、主に採用候補者が会社に適しているかどうかを判断するために使用されます。就職前の調査について知っておくべき重要なことがいくつかあります。

  • 応募者を従業員として雇おうとする雇用主のみが実施すべき
  • 調査対象から調査許可を得る必要がある
  • FCRA(米国の公正クレジット報告法)による一連のルール

バックグラウンドチェックが完了すると、採用候補者本人もその結果を確認することができます。

雇用前の身元調査には、通常、犯罪歴の検索、運転記録の取得、雇用と学歴の確認が含まれます。このタイプのバックグラウンドチェックは、3種類のバックグラウンドチェックの中で、最も低価格です。一般的な就職経歴調査は、申請者1人あたり30米ドルから100米ドルの範囲です。価格は、検索項目や学歴や職歴確認まで行うかどうかによっても変わります。

訴訟の為の身元確認

訴訟に関与している場合は、すべての当事者(原告、被告、証人および専門家)についてできる限りのことを理解しておく必要があります。当事者の信頼性は、裁判の結果を大きく左右することになります。これらの状況では、相手からの同意や事前予告なしにバックグラウンドチェックを実行できます。これにより、犯罪歴からソーシャルメディアまで、すべてを慎重に確認することができます。典型的な訴訟のバックグラウンドチェックには、次のようなものがあります。

  • 身元情報の検証(名前/別名、SSN、DOB)
  • 住所履歴
  • 犯歴(刑事訴訟歴)(州および連邦)-郡/居住地
  • 訴訟歴(民事訴訟歴)(州および連邦)-郡/居住地
  • 指名手配リスト検索(全州犯リスト確認)
  • 反社リスト(Patriot Actウォッチリスト)
  • 性犯罪者の検索
  • 国家安全保障とテロの監視リスト
  • OFAC(外国資産管理局)リスト
  • インターポールの指名手配リスト
  • OIG (行政処分歴)
  • 各種ブラックリスト
  • 職歴役員歴
  • 支払い滞納記録
  • 破産歴
  • 判決記録
  • 先取特権
  • ライセンス
  • ニュース/メディア検索
  • ソーシャルメディア検索

訴訟のバックグラウンドチェックで明らかになった情報は、法定での立場を有利に変えるために必要な証拠にもなります。

ソーシャルメディアはわかりやすい例でしょう。多くの人は、自分が投稿した写真について、客観的にどう見られるかをさほど理解していません。アルコール消費量の多さ、交友関係、不適切な発言などが見受けられる場合があります。

すべての訴訟は異なります。そのため、訴訟目的で必要な情報を見つけることに焦点を当てるために、バックグラウンドチェックの幅を調整できます。誰かが行ったすべての違法行為を必ずしも知る必要はなく、あなたの事件に関連するものだけでいい場合があります。

これらの調査は、雇用前のチェックよりも少し費用がかかる可能性があります。開始価格は通常300米ドルから1,000米ドルの範囲です。完了するまでに数日から数週間かかることがあります。

M&Aのデューデリジェンス

会社買収やM&A活動に従事することを考えているなら、デューデリジェンスのバックグラウンドチェックを有効に活用することができます。デューデリジェンスバックグラウンドチェックは秘密裏に行うことができ、個人や企業に対して行うことができます。

デューデリジェンスのバックグラウンドチェック項目には、訴訟法的背景において参照されている要素が含まれますが、次の要素も含まれます。

  • 資産
  • 関連会社/子会社
  • ライセンス/規制チェック
  • 業界誌/メディアリサーチ
  • 法人データレビュー
  • 処分・規制・制裁記録
  • 情報取材
  • ビジネス/プロフェッショナルライセンス(レビュー/確認)
  • ドメイン名

デューデリジェンスのバックグラウンドチェックで明らかになった情報は、買収企業が後継事業を適切に運営できるかどうかを判断する上で貴重な情報となります。また、ビジネスを運営するために必要な資金を確保できるかどうかの判断材料にもなります。法人の信用度に影響を与える可能性のある、民事訴訟歴や刑事訴訟歴についても確認できます。更に、取引先の情報や関係性などについても知ることができます。

さらに、取得しようとしているビジネスの所有者、幹部、主要な従業員の完全なプロファイルなども得られます。これらをすべて検討することで取引の進捗や交渉に役立てることができます。

まとめ

英語圏で定義されているバックグラウンドチェックは、基本的に、住所履歴、通名、犯歴、訴訟歴、破産歴、処分歴、役員就任歴等、公開情報で登録されている過去のネガティブ情報がないかを確認する調査です。日本では、上記の情報はほぼ公開情報として確認することができません。いわば、日本では、信用調査の為に情報を公開するという発想がないということになります。従って、日本では、英語圏の諸国で標準的に行われているバックグラウンドチェックと同等のことを行うことはできません。

しかしながら、信用状況を確認するという意味では、関係者への取材や現地確認等の情報ソースを重視した調査手法で、代替的な調査を行うことが十分に可能です。

逆に、海外でバックグラウンドチェックを行う際は、日本でよくある調査とは異なる調査手法が主流となっています。習慣や法律の違いをよく理解し、賢く、バックグラウンドチェックを行うことをおすすめします。

Japan PIでは、国内・海外共に、専門的見地からバックグラウンドチェックが可能です。企業向けサービスの詳細は、下記のページをご確認ください。


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