どこまでが対象?反社チェックの方法と限界

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近年、徐々に反社会的組織に関わる問題が顕在化してきております。この記事では、反社チェックの必要性から、対象となる範囲・具体的な反社チェックの方法を解説します。どこまでが対象?反社チェックの方法と限界反社チェックとは?必要性・具体的な方法・行うタイミングを解説します。

反社チェックとは

反社チェックは、取引先や関係者が反社会的勢力と関連していないかを調査するプロセスで、法的トラブルを防ぐために重要です。具体的な方法として、書類審査、面談、データベースの確認などが行われます。このチェックは企業の取締役にとっては善管注意義務の一環とされ、反社会的勢力は暴力団(ヤクザ)を含む、非合法な活動や不適切な行為を行う団体や個人を指します。反社登録された者は暴力団から始まり、半グレや詐欺師なども含まれます。

反社チェックを効果的に実施するためには、徹底的な情報収集と評価が必要であり、取引先や関係者が反社会的勢力とのつながりを持っていないことを確認することが重要です。企業はこれらのチェックを通じてリスクを最小限に抑え、コンプライアンスを確保します。

「反社会的勢力」の定義

反社会的勢力の定義について、政府の企業暴排指針と暴排条例にいて詳細に定められています。広義には、経済的利益を追求し、暴力や威力、詐欺的手法を用いる集団や個人とされます。以下にそれぞれの文書での範囲を示します:

政府の企業暴排指針の定義:

  1. 暴力団
  2. 暴力団関係企業
  3. 総会屋
  4. 社会運動標榜ゴロ
  5. 政治運動標榜ゴロ
  6. 特殊知能暴力集団
  7. 暴力的な要求をする者
  8. 法的責任を超えた不当な要求をする者

暴排条例の定義:

  1. 暴力団と密接な関係を有する者
  2. 暴力団構成員・準構成員・共生者
  3. 暴力団(員)を雇用・協力・利用する者
  4. 暴力団(員)が経営する法人に属する者
  5. 暴力団の維持に協力・関与している者
  6. 暴力団(員)と社会的に非難される関係を有している者

この範囲には、暴力団そのものだけでなく、準暴力団、反市場企業、共生者なども含まれており、反社会的勢力への関与を広範に捉えています。また、暴力団自体も組織実態を隠蔽し、不透明化を進めているため、広義のネガティブな情報や事件・不祥事、行政処分なども調査対象とすることが重要です。

反社対策措置

条例や政府指針で求められている具体的な対策措置について以下に明記します。

暴力団排除条例

各都道府県の暴力団排除条例において、企業に対して以下の対応が求められていることが明記されています。これらの措置は努力義務ですが、取締役などが怠ると善管注意義務違反を問われる可能性があります。

  1. 契約締結時の暴力団関係者の確認:事業者は契約を締結する際、契約相手方、代理、媒介者などが暴力団関係者でないかどうかを確認する努力を行うことが求められます。
  2. 契約書への暴力団排除条項の設定:契約書やその他の書面に、暴力団排除に関する特約を明記することが求められます。具体的には、暴力団関係者が判明した場合に契約解除できること、関連契約の解除などの措置を含めることが推奨されています。
  3. 解除権の備え:事業者は契約相手方が暴力団関係者であることが判明した場合に、契約を解除できる解除権を有し、必要な措置を求める権利を持つことが明記されています。

政府の企業暴排指針

政府指針(企業暴排指針)は、反社会的勢力による被害を防止するための基本原則を規定したもので、企業が取引先や株主における反社会的勢力の影響を防ぐためのガイドラインです。以下の主要なポイントが含まれています。これらの対策を実施することで、反社会的勢力による被害を最小限に抑え、法的トラブルを防ぐことが可能です。政府指針は法的には義務付けられていないものの、取締役の善管注意義務の判断基準として参考にされ、裁判所においても参考にされる可能性があることが示されています。したがって、企業は指針に従い、内部統制システムを構築することが重要です。

  1. 契約書への暴力団排除条項の導入:契約書や取引約款に暴力団排除条項を組み込むことで、反社会的勢力による不当要求に対処します。
  2. 自社株の取引状況の確認:可能な範囲で自社株の取引状況を確認し、反社会的勢力の影響を防ぎます。
  3. 取引先の審査と株主属性の判断:取引先の審査を行い、株主の属性を判断することで、反社会的勢力による被害を防ぎます。
  4. 反社会的勢力の情報を集約したデータベースの構築:反社会的勢力に関する情報を集約したデータベースを自社で構築し、逐次更新します。

金融庁の監督指針

金融機関に対する反社会的勢力への対応は、政府方針に従って、金融庁が平成20年に「反社会的勢力による被害の防止」に関する規定を「主要行等向けの総合的な監督指針」という文書の中で設けました。この指針には以下の特徴的な要点が含まれています。これらの要点により、金融機関は一元的な管理態勢を整備し、反社会的勢力による被害を効果的に防止するための措置を実施するよう求められています。

  1. 一元的な管理体制の構築:金融機関に対して、反社会的勢力対応部署を設置し、一元的な管理体制を構築することが求められています。この部署は、反社会的勢力に対する対応を一括して管理し、組織全体での一貫性を確保します。
  2. 反社会的勢力対応部署の役割:反社会的勢力対応部署は、反社会的勢力との関係を遮断するための対応を総括する役割を果たします。この部署は反社会的勢力による被害を防止するための重要なポイントとなり、その機能が確保されていることが強調されています。

反社チェックの必要性

反社チェックはリスク管理、法律遵守、信頼性の維持、金融犯罪の防止、社会的責任の履行という観点から、非常に重要なプロセスです。

  1. リスク管理:企業や個人が反社会的勢力との取引を避けるためには、反社チェックが重要です。このような関係は法的リスクや社会的評判の損失をもたらす可能性があります。
  2. 法的義務の遵守:多くの国や地域では、反社会的勢力との取引を禁止する法律があります。これらの法律を遵守するためにも、関係先のチェックが必要です。
  3. ビジネスの信頼性保持:反社会的勢力との関わりがあると判明した場合、その企業や個人の信頼性は大きく損なわれます。信頼性を保つためにも、関係の有無を確認することが重要です。
  4. 金融犯罪の防止:反社会的勢力はしばしばマネーロンダリングや詐欺などの金融犯罪に関わっています。これらの犯罪を防ぐためにも、関係先の確認が必要です。
  5. 社会的責任の履行:企業や個人が社会的に責任を持つためには、反社会的勢力との関わりを避けることが不可欠です。社会の安全と秩序を保つためにも、反社チェックが重要です。 

反社チェックを行うタイミング

反社会的勢力(反社)チェックを行うタイミングは以下のような場面で特に重要です。

  1. 新規取引開始時:新しいクライアントやビジネスパートナーとの取引を開始する前には、彼らが反社会的勢力でないことを確認する必要があります。これにより、取引開始後に発生するリスクを未然に防ぐことができます。
  2. 定期的な確認:既存のビジネス関係についても、定期的に反社チェックを行うことが重要です。これにより、時間の経過と共に変化する状況を捉え、リスクを管理することができます。
  3. 重要な契約や取引前:大きな契約を結ぶ前や、高額の取引を行う前には、相手方が反社会的勢力でないことを再確認することが推奨されます。特に、金銭的リスクが高い取引では、このチェックは不可欠です。
  4. 疑わしい活動があった場合:取引先やビジネスパートナーに関して疑わしい活動や情報が入手された場合、すぐに反社チェックを行うべきです。これにより、問題が拡大するのを防ぐことができます。
  5. 法的・規制上の変更があった場合:法律や規制が更新されたときは、それに伴い反社チェックの基準や手順を見直し、必要に応じて再検証を行うことが重要です。

反社チェックの範囲

反社会的勢力(反社)チェックを行うべき範囲について説明します。このチェックは、ビジネスの安全と信頼性を確保するため、以下のような範囲で行うことが重要です。

  1. 取引先企業:取引を行う企業や団体に対しては、反社チェックが必要です。これには、サプライヤー、販売代理店、協力企業などが含まれます。
  2. 個人取引先:法人だけでなく、個人事業主やフリーランスといった個人取引先に対しても、同様にチェックを行います。
  3. 顧客企業:製品やサービスを提供する顧客企業についても、反社チェックを実施することが重要です。
  4. 投資先企業:投資や出資を検討する企業に対しても、反社チェックを行うことが必要です。
  5. 合弁事業や提携先:合弁事業を行う企業や提携・協業を計画している企業についても、チェックを実施します。
  6. 役員や重要な従業員:企業の役員や重要な立場にある従業員(特に財務関連や重要な意思決定に関与する職務)についても、反社チェックが推奨されます。
  7. 下請け企業や協力会社:直接の取引先だけでなく、それらの企業が使用する下請け企業や協力会社に対しても、間接的なリスクを考慮してチェックすることが望ましいです。
  8. 不動産取引関連:不動産の購入、賃貸、売却などの取引を行う際にも、関与する企業や個人に対して反社チェックを行うべきです。

反社チェックの具体的な方法

反社チェックの具体的な方法を、危険度のレベルに応じて整理し向上させます。

一般的な反社チェック

  1. 反社条項に対する反応観察: 取引先が反社条項の締結を避ける動きや変更を求めるかを注視し、その姿勢や意図を評価します。
  2. データベーススクリーニング: 日経テレコンなどの記事データベースやインターネットでのキーワード検索を通じて、取引先に関する公的情報や関連ニュースを集めます。また、自社データベースと照合し、過去の取引履歴を確認します。
  3. 企業基本情報の確認: 商業登記情報を調査し、取引先の役員、商号、住所、事業目的の変更履歴などの基本情報を把握します。さらに、業歴、業績、取引実績、取り扱う商品やサービスに関する詳細情報を収集します。

懸念情報がある場合

  1. 風評チェック: 業界内の評判や噂を探り、業界団体に問い合わせてさらなる情報を収集します。
  2. 現地確認: 取引先のオフィスや店舗を実地で訪れ、周辺環境、建物状況、隣接するテナントなどを調査し、オフィスの雰囲気を把握します。
  3. 資料の追加提供依頼: 取引先に詳細な会社概要や商品・サービスの情報提供を依頼し、提供が拒否されたり情報が不正確であったりする場合は警戒します。
  4. 取引開始経緯の再確認: 取引開始の背景を詳しく検証し、不審な点や異常な流れがないかを確認します。相見積もりの有無や紹介者の信頼性も調査します。
  5. 取引条件の再確認: 契約条件に異常や急速な進行がないか慎重に見直し、提示された条件の正確性に注目します。

危険度が高い取引先の場合

  1. 厳格な本人確認(特に個人事業主): 公式な身分証明書(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど)を用いて、個人事業主の本人確認を徹底的に行います。
  2. 専門調査機関への調査委託: 専門の調査会社に依頼して、詳細な情報収集とレポート作成を行います。
  3. 行政機関への照会: 行政機関や暴力団追放運動推進センターに連絡を取り、取引先の詳細情報を確認します。また、警察に相談して、取引先の安全性に関する情報を集めます。

反社会的勢力への対処方法

反社会的勢力との関わりが判明した場合の対処法について要約します。

  1. 警察や弁護士への相談:反社会的勢力との関連が疑われる場合、警察や「暴力追放運動推進センター」と相談することが重要です。これらの機関は暴力団排除活動の支援や安全確保の方法についてのアドバイスを提供します。また、法的な対処方法に関しては、弁護士に相談することが望ましいです。

暴追センター(全国暴力追放運動推進センター)http://fc00081020171709.web3.blks.jp/index.html 

特防連(特殊暴力防止対策連合会)http://www.tokubouren.or.jp/index.html 

  1. 取引の中止:反社会的勢力である可能性がある相手との取引は、その理由を詳細に伝えることなく中止するべきです。「弊社の取引審査の結果、取引ができない」といった結論だけを伝えることで、問題を回避します。
  2. 契約解除と損害賠償の検討:すでに契約を結んでいた場合は、反社条項に基づいて契約を解除し、必要に応じて損害賠償を請求することが可能です。ただし、報復のリスクも考慮して慎重に対応する必要があります。
  3. 社内での情報共有と対応策の検討:問題が発生した際に備えて、社内で情報を共有し、警察や弁護士と連携しながら対応策を検討します。

まとめ

反社チェックは、取引先や関係者が反社会的勢力と関連していないかを調べるプロセスで、法的トラブルの予防に役立ちます。チェック方法には書類審査、面談、データベース確認が含まれます。

反社については、政府が定めた企業暴排指針と暴排条例に基づいて定義され、暴力団やその共生者、詐欺師等がこれに該当します。反社対策措置としては、契約書に暴力団排除条項を設定することが求められます。反社チェックは、リスク管理、法的義務の遵守、ビジネスの信頼性保持、金融犯罪の防止、社会的責任の履行のために重要です。その範囲は、取引先企業、個人取引先、顧客企業、投資先、合弁事業・提携先、役員・重要従業員、下請け・協力会社、不動産取引関連が含まれます。

Japan PI でもご相談を受け付けております。

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