所有者不明土地の調査方法

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不動産に関する調査には、以下のようなパターンがあります。

  • 空き家の所有者を知りたい
  • 不動産業者の信用を確認したい
  • 入居候補者の信用を確認したい
  • 賃貸物件契約で入居候補地の環境を調査したい
  • 売主の身元を確認したい

ここでは、ビジネス信用調査の一環として、空き家の所有者を確認する場合の注意点について解説します。

不動産登記には公信力がない

空き家の不動産所有者を知りたい場合、法務局で不動産の登記簿を取得すれば、所有者の氏名と住所が分かります。しかし、2016年度の地籍調査では、登記簿上の所有者が所在不明となっている土地の割合は、日本国内の全土地の約20%に及ぶと言われています。要するに、登記簿上の不動産所有者が分かっても、その所有者と連絡が取れない確率が20%程度あるということです。

なぜ所在不明者がそんなに多いのか、その理由は以下の通りです。

  • 相続人がその土地を必要としておらず、固定資産税や相続税を支払いたくない。
  • 所有者の名義や住所に変更があっても変更していない。

あまり知られていないことですが、現在の法制度では不動産登記に関して、必ずしも登記する義務はありません。不動産の登記は任意であり、登記をしないことによって何の罰則もありません。

もちろん、自分の土地であることをきちんと証明しなければ、他人に不法占拠されても文句が言えなくなるため、所有者が登記するのが普通です。しかし、逆に言うと不要な土地であれば、登記する必要や所有権を変更する必要がありません 。特に、不要な土地を相続すれば、 不動産登記変更の登録免許税も相続税も固定資産税も発生し、何も良いことがありません。 放置さえしていれば、前所有者の被相続人に対しての固定資産税の支払いを、実質的に踏み倒せるわけです。

相続税が高すぎる日本

日本は、相続税の税率が主要国の中で最も高く設定されています。日本の相続税の最高税率は55%で、基礎控除額は最低3600万円となっています。

基礎控除額の上限設定も、主要国の中で日本が一番低い設定となっています。このような背景もあり、不要な土地を相続したがために莫大な相続税を支払う羽目になって、破産するのではないかという不安を持っている人が多いのが現状です。ただし、実際のところ、相続税自体が発生する家庭は、全家庭の1/6(16%)程度と言われています。 約84%の家庭では、相続税を支払うほどの相続金額がないということです。

「相続税が異常に高い」というイメージだけが社会に浸透してしまった結果、相続税についてきちんと税額を算出する前に逃げ出してしまう人が多くなりました。さらに、負債も相続されるという法制度のせいで、なおさら相続税に怯える人が多くなっています。

そのような理由から、不要な土地の相続放棄は裁判所で手続きをしなければらず、債務の相続放棄以外の理由だと、より手続きが煩雑になります。そんな面倒な手続きをするくらいなら、所有権変更の登記をせず、無視した方がよいと考えるのが普通です。所有者不明の土地が増えるのは、当然の結果というわけです。

住民票・戸籍制度の問題

所在不明所有者の土地問題で、この問題をさらに深刻にしているのは、住民票の除票の保存期間が5年間しかないことです。

居住者が転居したあと、5年の間は、市区町村役場で「住民票の除票」として住所記録を保管します。しかし、5年が経過すると、住民票記録が破棄されることになっています。日本では「住民票」と「戸籍謄本」の二本立ての市民登録制度があり、戸籍謄本の附票には住所の履歴一覧が記載されます。

戸籍謄本を確認するには、その人物の「本籍地」と「筆頭者の情報」が必要です。住民票には本籍の情報が記載されていますが、前述の通り5年で破棄されてしまいます。したがって、 所有者の所在調査では、「本籍」と「筆頭者の情報」を持っている、あるいは「最終登録の所有者情報にある住所に、最近5年以内の住所登録がある」のいずれか出なければ、所有者の現住所を辿ることすら不可能になります。

本籍地の誤解

本籍地は、誰でも好きな住所に設定できるため、皇居や北方領土の住所に設置している人もいます。本籍地は、もともと先祖の大元の住所という意味あいを持っていましたが、現在ではその意味は全く無く、その人物が任意で選択できるID番号に近い存在となっています。

最近では、自動車の運転免許証にも本籍を表示させないようになっています。なぜそこまで本籍を秘密情報にするか、不可解なところが実際はあります。部落解放同盟や、都道府県庁の人権部などが、戸籍登録の中に差別情報が含まれていると主張しています。しかし、身分事項が記載されていたのは150年以上前の壬申戸籍の間のみで、その後の戸籍登録の中に身分記録は一切ありません。また部落解放同盟などは、本籍の情報が漏れると被差別部落出身かどうかが判明すると主張していますが、戸籍法では日本国内の任意の住所に本籍を設定することができます。そういう意味では、戸籍から被差別部落出身かどうかがわかるという説にも合理的な根拠がありません。

戸籍制度は日本人にしか適用されない

また、戸籍制度は日本国籍者にしか適用されません。外国籍の人物には住民票登録しか無いため、住民票の除票記録を5年間しか保存しないという制度では、外国人市民の管理上、致命的な欠陥があるとしか言いようがありません。

逆に言うと、外国籍の居住者の場合は、家族関係を証明する書類や、出生届、死亡届、結婚届、離婚届、養子縁組届、等、生存証明や親子関係、夫婦関係等を公的に証明する書類が存在しないことになります。

所在不明所有者問題の法改正

所有者不明の土地問題は、経済的にも精神的にも大きなダメージになることから、政府もさすがに重い腰を上げて法改正に乗り出しています 。具体的には、以下のような内容が挙げられます。

  • 不動産の変更登記を義務付ける
  • 不動産の所有権の所有権放棄を簡便化する
  • 住民票の保存期間を、5年ではなく無期限に変更する
  • 不動産の変更登記の登録免許税の減免
  • 所有者所在不明の土地の10年間限定の特例利用

登記上所有者以外の固定資産税支払者

土地所有者のなかには、不動登記上の所有者以外の関係者が固定資産税を支払っている場合があります。 その場合は、登記上の所有者が連絡不通であっても、固定資産税を扱う都道府県事務所で固定資産税を支払っている親族などの情報を把握している場合があります。この場合は、都道府県事務所の納税情報から、現在連絡が可能な所有者(共有者)の連絡先を取得することが可能です。

参考記事:法務省 所有者不明土地の法改正(http://www.moj.go.jp/content/001315516.pdf

法務省及び国土交通省が所管する「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が、2018年11月より一部施行。2019年6月に全面施行されました。

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