探偵が教える – 自分でできる企業財務分析

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調査の基本は世界共通で、「公開情報」をいかに見極めることができるかです。ウラ情報だったり、相手から巧みに話を引き出す特殊スキルが必要も当然あった方がよいのですが、基本は、公開情報を読み解くチカラが、探偵に限らず、調査の世界では重要なのです。

日本では、探偵の主要業務が浮気調査に偏っていますが、本来、探偵業は、弁護士と同様、民事的事案全般を取り扱い範囲としています。探偵は、個人の信用調査のみならず、多くの企業の信用調査・スパイ対策等の調査活動に従事しています。企業調査で重要となる公開情報は財務諸表です。

探偵も、個人の調査に加え、財務情報の分析に関しても、一定の知見を持っている必要があります。今回は、企業の財務情報の基礎的な分析方法について、ご紹介します。

財務諸表を比較しよう

分析の初段階でオススメなのは年度比較、もしくは他社との比較です。

そこで、以下に5社の財務諸表の比較表を用意しました。

  • セブン&アイホールディングス
  • 三井不動産
  • キャノン
  • ファーストリテイリング
  • 武田薬品工業

これらの財務諸表は、貸借対照表と損益計算書の数値を%で表した簡易的な財務諸表です。

貸借対照表では、資産合計、負債純資産合計を100%とした、その内訳項目をパーセンテテーじで表しています。

損益計算書では、売上高を100%として、それ以外の項目をパーセンテージで表しています。

この表のA、B、C、D、Eが、上記企業のどれにあたるかのクイズです。

貸借対照表の分析 各項目の数値は、資産合計、負債純資産合計を100%とした数値です。
  A B C D E
流動資産 68.7% 31.2% 39.5% 19.7% 29.8%
有形固定資産 6.7% 46.8% 21.9% 12.0% 37.0%
無形固定資産 2.7% 0.9% 6.3% 29% 24.5%
投資その他の資産 21.9%  21.0% 32.2% 39.3% 8.7%
資産合計 100% 100% 100% 100% 100%
流動負債 23.1% 15.6% 22.3% 16.3% 28.4%
固定負債 30.5% 48.9% 12.5% 40.6% 35.6%
純資産 46.3% 35.5% 65.2%  43.1% 36.0%
負債純資産合計 100% 100% 100% 100% 100%
損益計算書の分析
  A B C D E
売上高 100% 100% 100% 100% 100%
売上原価 49.7% 78.6% 53.7% 31% 81.0%
    売上総利益率 50.3% 21.4% 46.3% 69% 19.0%
販売費および一般管理費 38.3% 9.8% 30.1% 24.8% 36.8%
 うち広告宣伝費 3.1% 1.0% 1.7%
 うち研究開発費 8.2% 14.7%
 営業利益率 11.7% 11.7% 8.0% 12.9% 5.2%
営業外収益 1.1% 0.9% 0.5% 1.2%
営業外費用 0.3% 1.8% 4.5%
  経常利益率 12.5% 10.7% 8.6% 8.5% 4.8%
特別利益 2.8% 0.3%
特別損失 1.0% 0.9%
 税引前利益率 12.5% 12.5% 8.6% 8.5% 4.2%
 法人税当 4.2% 4.1% 2.0% 2% 1.2%
 当期純利益率 8.2% 8.3% 6.6% 6.4% 3.0%
その他の指標
  A B C D E
総資産回転率 85% 26% 105% 27% 85%
売上債権回転期間 9日 14日 55日 78日 14日
在庫回転期間 68日 338日 66日 77日 12日

業種毎の財務諸表の特徴

以下が正解です。

  • A ファーストリテイリング
  • B 三井不動産
  • C キャノン
  • D 武田薬品工業
  • E セブン&アイホールディングス

隣合わせとなっている企業を比較して、特徴を見ていきましょう。

流動資産と固定資産

AとBは、資産に特徴のあるペアです。Aは、流動資産、Bは、有形固定資産が、5社内で最も高い数値です。不動産は有形固定資産ですから、Bは、固定資産割合の高い三井不動産と類推できます。これは、テレビ局にもよく表れる特徴と言われています。

Aは、流動資産が多いので、現金や商品を多く持つ小売業と類推できます。そうすると、セブン&アイホールディングスかファーストリテイリングと想定できます。

売上原価

ここで、売上原価を注目すると、Aは、5社の中で2番目に低いです。衣類業界は原価が低い特徴があるため、Aは、ファーストリテイリングとなります。ファーストリテイリングは工場があるのではと思われがちですが、実際は、外注が多く、有形固定資産値が高くないのです。

研究開発費

CとDは研究開発費が売上の高ウエイトを占めるペアです。研究開発を行うキャノンか武田薬品と予想されます。ここから決め手となるのは売上原価です。

Dは低い売上原価を示していているので、武田薬品工業と類推できます。薬品の研究開発は失敗もあるため、高い利益率で失敗分を補っています。これは化粧品会社にも見られる傾向です。したがって、Cも、研究開発費の比率が高いので、キャノンです。

在庫回転期間

消去法でEはセブン&アイホールディングスとわかりました。セブン&アイホールディングスは在庫回転期間の圧倒的に低く、それは生鮮食品を取り扱う性質があるからです。

まとめ

財務諸表の分析には専門家から教えてもらい知識を高める一方、自身のビジネスフィールドで業界独自の傾向を収集していく必要があります。

既定の基礎情報に独自の情報が混ざることで、他にない自己の判断が生まれるのが会計学の楽しみです。情報収集を職業とする探偵だからこそ、依頼人のお役に立てる会計の見解を提供していきたいです。

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