興信所と探偵の違い|それぞれの正しい選び方をプロが解説

Japan PI >> ブログ >> 探偵全般 >> 興信所と探偵の違い|それぞれの正しい選び方をプロが解説
detective

タウンページのような「職業電話帳広告」が主流だった1990年代までは、調査業者のカテゴリーは「興信探偵」となっており、「興信」という言葉が前に来ていました。「探偵」という言葉が主流になったのは、2007年に探偵業法が施行されてからです。その結果、興信所という言葉は相対的に廃れました。現在では、探偵と興信所の定義に明確な違いはなく、言葉のイメージの違いの方が大きいかもしれません。

今回は、興信所と探偵の違いと、選び方について解説します。

興信所とは?

興信所とは、信用調査を中心に、企業や個人の活動やバックグラウンドについて調査を行う民間企業を指します。興信所と似た用語に「探偵」があり、近年では同じ意味として使われることもありますが、本来は別の意味合いで使われてきた言葉です。

現在でも、ニュアンスが微妙に異なることがあり、その違いを知っておくことで依頼や興信所探しがスムーズにいく場合があります。そこで、以下で探偵と興信所の違いをご説明します。

「興信所」と「探偵」の大まかな違い

私自身も探偵歴30年を超えていますが、探偵業界のさらに大先輩から、以下のような話を聞いたことがあります。

「調査対象者が動くかどうかで、調査手法が変わります。個人は動くけど、法人は動きません。また、個人の過去も動きません。探偵は、動くもの(人間)の行動調査が得意だから、個人の浮気調査や人探しが得意です。興信所は、動かないもの(資産・評判)を調べるのが得意だから、法人や個人の信用調査が得意です。動かないものの調査は行動調査ではなく、聞き込み調査で行います。亅

この調査手法による区分は、とても含蓄のある言葉のように聞こえます。つまり、伝統的にも以下のような区分が存在していて、この区分は現在でもベースとなっています。

  • 探偵=行動調査のプロ
  • 興信所=聞き込みのプロ

このことから、調査内容別に「探偵」と「興信所」のどちらに依頼すべきかというと、以下のように言うことができるでしょう。

  • 探偵:浮気調査、素行調査、身辺調査、人探しなど
  • 興信所:信用調査、企業調査、職歴調査、結婚調査など

ただし、探偵も聞き込みを行うことがありますし、両方の調査を行う会社は「探偵興信所」などと名乗ることもあります。さらに、今となっては興信所は死語になりつつあります。若い世代の人にとっては、興信所といっても何のことだかよく分からないでしょう。

「興信所」「探偵」「調査業」の呼び分けと歴史的経緯

歴史的な経緯を振り返ると、もともと「探偵」とは、「何らかの事件や事案が発生した際に、尾行や聞き込みなどの方法で調査を行う業者」という認識が一般的でした。一方の「興信所」は、「企業や個人の信用データを収集し、事前の信用確認を行う業者」といった認識で、大まかな分類がありました。ただし、職業を表す用語としては、探偵と興信所にそれほどの区別はないため、「調査業」という呼び方が一般用語として使われていたものと思われます。

歴史を遡ると、1988年、警察庁が日本調査業協会に、「調査業者の全国的な業界団体として再編成するように」と要請しました。ここからも、「調査業」が探偵や興信所の包括的な呼び方であったことがうかがわれます。

さらに2005年2月、個人情報保護法の先立ち、警察庁から「興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針」が掲示され、これにも「興信所」という名称が使われています。

ここまでは「興信所」の流れでしたが、2007年に「探偵業法」という法律が制定されました。探偵業法は調査業を行う上での重要な法律であるため、再び「探偵」という呼称が優位になり、結果としていまだに「探偵」「興信所」等の言い回しが混在している、ということになります。

さて、この探偵業法、正式名称「探偵業の規制に関する法律」にはなぜ「興信所」ではなく「探偵」という名称が使われることになったのでしょう? その理由を解説するには、業界内部で利用されている「一部・二部・三部」という区分けについてお伝えしなければなりません。

探偵業における「一部・二部・三部」の分類

一般的には、興信所と探偵は混同して使用されることが多くなっていますが、古くからの業界内の分類は以下の通りです。

  • 探偵 – 浮気調査や人探し・結婚調査などの現場調査をする
  • 興信所 – 企業信用調査・採用調査など、取材やデスクリサーチ等を行う

また、探偵業界の内部では、「探偵」「興信所」という区分よりも、調査ジャンル別に専門的な区分が存在します。以下の三部構成です。

  • 一部 – 企業信用調査(法人向け興信所)
  • 二部 – 採用調査(法人向け興信所)
  • 三部 – 浮気調査、人探し、結婚調査(個人向け興信所)

ちなみに、一部とされる業者は、帝国データバンクと東京商工リサーチの2社が市場を独占しています。今となっては、一部とされる業者は、探偵でも興信所でもないというスタンスになりました。そして、探偵や興信所の業界団体で従来実権を握っていたのが、二部の業者です。二部の業者はホワイトカラーで知性があり、三部の業者は、ブルーカラーで知性が低いとされていました。その為、三部業者が、業界団体の役員に就任しづらいという風潮すら、かつては存在していました。

しかし、厚生労働省が人権偏重の観点から採用調査を奨励しなくなり、その結果、採用調査を行う二部の業者が衰退しました。現在では、二部と三部のボーダーが曖昧になっています。また、2007年に探偵業法が制定されてからは、悪徳業者やアウトローのような業者は排除されたため、業者のサービス品質も均質化してきています。そのため、三部業者が「知性がない輩」であるという風潮も、昔よりは格段に薄れています。

「探偵」業法が制定された経緯

さて、2007年に制定された探偵業法ですが、なぜ「興信所業法」ではなく「探偵業法」とされたのか、その理由について推測します。

前提として、それまでの探偵や興信所等の調査には、何の規制もありませんでした。規制がなかったことで、調査業には、2つの大きな問題点がありました。

  • ぼったくり業者が横行していた。
  • 暴力団のフロント企業の調査業者が多数あった。

この2つを抑制し、規制する手段として、調査業界に登録制を導入することになりました。

こうした問題の温床となっていた調査業者は、主に個人顧客をターゲットとする、浮気調査等を主業務とする業者でした。調査業内部の分類で言うところの、三部の業者です。法人顧客をターゲットとする、企業信用調査を主業務とする一部業者や採用調査を主業務とする二部業者は、上記2点のトラブルへの関与がさほどありませんでした。(ただし、一部業者には、化調(ばけちょう)と言われる恐喝紛いの詐欺商法、二部業者にも同和差別の問題や違法な情報収集による調査の問題が、それぞれありました。)

探偵業法は議員立法によって制定されていますが、業法制定の担当の議員は、業界内部の詳細を確認するために、調査業界の重鎮業者の代表から、ヒアリングを行いました。その結果、業界内部の分類でいうところの、三部業者、つまり、昔からの一般的な認識の探偵(興信所ではない)を第一に規制しなければいけない、という結論に至りました。その結果、業者の呼び方を探偵とし、探偵業の業務の定義が決定された、ということになります。

現在の探偵業法の定義では、「所在又は行動について、聞込み、尾行、張込み等の方法で、実地の調査を行う業務」とされています。この法律の制定によって、行政側の定義としては、民事的な調査を行う業者は「探偵」と呼ばれるようになりました。

探偵業法が制定された当時、企業の信用情報のみを扱っている帝国データバンクや東京商工リサーチは、探偵業のカテゴリーに入らないと主張しました。現在も帝国データバンクと東京商工リサーチは、探偵業の登録を行っていません。本当は、探偵業法が定義する探偵業と、そうでない調査業務のボーダーラインは曖昧です。企業信用データ会社が探偵業の登録をしなくていいという根拠も、曖昧ではあります。ある意味、政治的な要因が背景にあり、「企業信用調査の業者は探偵業者ではない」とされたのです。

個人情報保護法と「探偵」

2004年2月に出された、「興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針」という警察庁通達があります。これは、警察庁が、2005年の個人情報保護法の施行に備えて、探偵や興信所業者の活動を配慮したものです。個人情報保護法を条文通り守るなら、探偵興信所業者が営業できなくなります。なぜなら、対象者に調査していることを通知しないと調査ができないからです。もちろん、対象者が調査されていることを知れば、都合の悪い証拠を隠滅します。

そこで、警察庁が考えたのは以下の調査の場合、個人情報保護法を適用しなくてよいというルールです。

  • 配偶者の調査
  • 親権のある子供の調査
  • 法律行為の相手方(取引相手・結婚相手等)の調査
  • 犯罪やその他の不正行為の加害者の調査

簡単に言えば、家庭内の問題の調査、結婚や取引や採用などの信用調査なら、対象者に調査事実を事前に通知しなくてよいということです。浮気の問題は、調査することを事前予告すれば、証拠が取れません。また、家出に関する人探しの場合、対象者が見つかるまで調査事実を通知できません。よく考えれば当たり前のことです。世の中、何でも杓子定規に個人情報保護法を適用すればいいというものではありません。

ここでポイントとなるのは、この警察庁の通達では、探偵業者を「探偵」ではなく、「興信所業者」と呼んでいます。これはなぜかといえば、2004年の通達だからです。2007年に探偵業法ができるまで、どちらかというと、探偵業者は、公的な場では、興信所業者と呼ばれていたのです。

探偵業者のウェブサイトなどでは、この通達が興信所と探偵の業務を定義していると紹介されたりしています。しかし、これは単なる時系列の問題で、2007年以前は、探偵業者という用語は公的には使われず、興信所の方が普及していたいうことです。「探偵=調査事実を通知せずに調査が行える」「興信所=調査事実を通知しないと調査が行えない」という意味ではありません。

興信所や探偵の選び方

昔から、探偵・興信所業者ごとに、それぞれの得意ジャンルがあります。浮気調査専門の会社に、採用調査を依頼するのは非合理です。また、採用調査専門の会社に浮気調査を依頼するのも非合理です。

何の調査を相談するか、どのような調査手法で調査していくことになるかなど、基礎知識を得た上で、最適な調査会社を選びましょう。ただし、広告・宣伝では、他ジャンルに対応しているという営業トークもあります。

病気の治療で言うなら、総合病院なら、いろんなジャンルに対応しています。しかし、皮膚科とか整形外科とかの町医者レベルでは、専門以外のジャンルの治療ができません。それと同様に、会社の規模によって、探偵会社も専門性の幅が変わります。

専門ジャンルを見分けるための考え方をご紹介します。探偵業界は、大きく分ければ、上述したように、二部や三部という業種分けがあり、採用調査系の企業向け調査が専門の会社と、浮気調査専門の探偵会社に分かれます。結婚調査の場合、採用調査系と浮気調査系のどちらも取り扱っている場合があります。浮気調査をやっているところは、調査手法が類似している人探しも扱っているでしょう。一方で、採用調査専門の会社は、人探しはあまりやらないでしょう。

探偵や興信所の品質や能力を分析する

探偵や興信所は、守秘義務の関係から、過去の成功事例等を吹聴するわけにはいかず、これまでの実績が見えない業界です。それでは、何を基準に、業者の能力を分析すればいいでしょうか?

実は、業者側が広告・宣伝するときにも、同じ悩みがあります。業者側は、どうやったら、自分たちの強みをアピールできるか、いつも悩んでいます。

間接的ですが、業者としての評価を上げるやり方はいくつかあります。以下がその事例です。

  • 業界団体の役職に就任する
  • マスコミの取材を受け、紹介してもらう
  • 実務の内容について説明した記事等を発信する
  • 過去の満足した顧客にレビューを書いてもらう
  • 調査の専門家として、セミナー講師などをやる
  • 弁護士・法律事務所等、調査をよく利用する所に広報する

調査業者を選ぶ側としても、こうした部分での情報発信があるかどうか確認し、より安心できるところを選ぶべきです。

ネガティブ情報の有無

ある程度、依頼候補の調査会社が決まったら、その会社にネガティブは情報がないか確認していきます。

探偵業は登録制ですから、きちんと探偵業の登録をしているかどうか、また、行政処分がないかどうかなどを事前に確認すべきことは言うまでもありません。

  • 探偵業の届出確認(都道府県警察署)
  • 探偵業の行政処分(都道府県警察署。処分があると3年間公表される)
  • 会社名や代表者の氏名でのキーワード検索で、悪評がないか確認
  • 代表者や役員氏名での反社データ登録確認

あとは、業者の担当者と、調査方法や注意点等についてよく相談して、きちんと納得してから依頼を決断するということになります。

調査のご依頼はJapan PIまで

Scroll to Top