勤務態度に問題がある、反社会的勢力との付き合いが疑われる等、社員の様子がおかしい場合には、探偵に依頼するのも一つの方法です。危機管理の一環として、違法にならない社員の素行調査の方法を紹介します。
社員の素行調査とは?
企業は会社内の人事や労務その他、労働環境の監督義務があります。社内でトラブルが発生した場合、企業が調査をするのは当然のことです。
身分差別につながる調査や思想、信条、宗教などに関する調査、そして調査方法自体に違法性がある調査以外であれば、社員に対する調査が違法ということはありません。
社員の素行調査は違法?
社員の素行調査が発覚した場合にストーカー規制法の違反になると紹介している Web サイトがあります。
しかしながら、ストーカー防止法は、恋愛感情が満たされなかった不満を元につきまとい行為やストーカー行為をすることを取り締まる法律です。したがって、恋愛感情の不満とは無関係な理由で調査を行うことに対してはストーカー規制法の対象にはなりません。
まとめると、不正行為や違法行為を行っている社員の調査依頼をすることに特段、違法性はありません。不正行為や違法行為の結果をもとに民事訴訟や刑事告訴をするということであれば取得した情報の不正利用ということもありません。
※行動調査が対象者に発覚すれば、他の目的に基づく調査同様、軽犯罪や都道府県条例の違反になります。また、社員の個人の自宅や電話機に盗聴器を仕掛けたり、パスワードクラッカーなどで個人の電子的通信を傍受したりすることも、社員の調査に限らず違法行為となります。
社員の素行調査の事例
会社内でのトラブルが顕在化する前に、状況を客観的事実として確認することでリスク回避できる可能性があります。
例えば、以下のような問題でお悩みではないですか?
- 競業避止契約違反(退職した社員が競合他社に勤務している)
- 元社員が他社員を引き抜いて開業した
- 元社員が他社員を引き抜いて開業した
- 架空契約や水増し経費で横領している
- 社内不倫問題の疑い
- 副業禁止規定違反している可能性
- 産業スパイの疑い
- セクハラやバワハラの証拠
- 社員が労災や休業補償で長期休業
このような後々トラブルに発展しそうな疑念に対して、探偵業者は事実確認につながる証拠収集を行います。例えば以下のようなものです。
- 社員の不正行動や不審な行動証拠
- 横領の疑いのある社員や同業他社への情報リーク
- 反社会勢力との交際の掲載
- 職場内でのパワハラやセクハラ
- いじめや労災不正需給問題などの実態
このような証拠は、その後の社員対応に活用することができます。当社が以前扱った事例を紹介いたします。
不正行為の疑いがある社員の例
不良社員の怠慢行動や不法行為・違法行為の証拠収集について、素行調査を行った事例を以下にご紹介します。
ケース1:外回りの営業担当が業務を行っていない?
依頼者:中規模の不動産営業会社
対象:営業成績が低下している外回りの営業マンに対する素行調査
相談案件:朝出社した後、基本的に外回りの営業を中心とした業務で、夕方に帰社して、業務を終了する。
ここ最近はほとんど成約件数がなく、外回りの時に本当に業務を行っているか不審な点が出ている。
他の従業員から対象者が日中パチンコ店に出入りしているとの密告も入った。
依頼者と相談した結果対象者について平日3日間、日中8時間の行動調査を行うことになりました。
第1日目、会社から対象者を追跡すると山手線環状線に乗車しました。
対象者は山手線に乗車して、すぐに居眠りを始めました。
対象者は、なかなか環状線をおりません。山手線は一周するのに約1時間かかります。対象者は山手線3周目でやっと居眠りを終えて電車を降りました。
立ち食いそば屋で、食事を済ました後、対象者はパチンコ店に入りました。
結局、夕方までに周辺のパチンコ店5軒をハシゴしました。
2日目も、一日目とおおよそ同様の行動でした。
3日目は、山手線で居眠りした後、午後に麻雀店へ立ち寄りました。
ほぼ毎日、居眠りとギャンブルに明け暮れて、会社の業務は全くしていないことが確認されました。
依頼者法人はこの証拠をもとに懲戒解雇をする方針を固めました。
ケース2:競合他社へ社内情報をリークしている?
依頼者:防衛航空産業の商社
対象者:会社役員
相談案件:役員が同業他社へ情報をリークして、個人的に不当利益を得ている疑い
取引先からの密告があり、調査対象者の役員が同業他社の役員と頻繁に接触しているとの情報が入りました。
対象者は、不定期にオフィスに出勤します。通常取引先との打ち合わせを中心に外回りの活動をしています。
自宅から出勤せず、そのまま打ち合わせ先に出向くこともあるため依頼者と相談の結果、平日5日間、朝から自宅にて行動調査を行う設定となりました。
対象者は、ホテルのラウンジでの打ち合わせや、取引先企業のオフィスへの訪問などを繰り返しました。
車両で移動しており、1日に5件から6件の打ち合わせを行います。
車両で移動しているため、夜間の飲酒を伴う打ち合わせはほとんどありませんでした。
訪問先企業に関しては、想定内での取引先でしたが、ホテルのラウンジで5日間の調査中、そのうち2日間接触した人物が同業他社の役員であることが判明しました。
調査員が、撮影した写真を依頼者担当者へリアルタイムに報告していることによって、依頼者と情報共有しながら調査を進めました。依頼者の担当者は、調査員が撮影した接触人物の顔写真を見ると、その人物のプロファイルをほぼ特定できました。
ホテル内のラウンジで、同業他社の役員と対象者が2回目に接触したとき、調査員たちは運よく近くの席に座ることができました。これによって対象者と同業他社役員の会話内容の概略が聞き取れ、対象者が同業他社役員に、次はどの情報が必要か質問している内容などがクリアに録音できました。
また、ホテルのラウンジを出たところの物陰で、1万円札が覗いた札束の封筒を対象者が受け取っている動画撮影にも成功しました。
これらの証拠をもとに依頼者法人は対象者を刑事告訴する計画を立てました。
ケース3:役員が反社会的勢力と関係している?
依頼者:保険会社
対象者:会社役員
相談案件:役員が反社会勢力と交際しているとの密告
依頼者の指示の通り対象者が外出するタイミングを狙って2日間行動確認調査を行いました。
その結果、対象者は頻繁に反社会勢力が経営する賭け麻雀の店舗に出入りしていることが確認されました。
麻雀店の店員も反社会的勢力と思しき風貌の人物ばかりでした。
調査員は閉店後に麻雀店店員の車両を追跡したところ、マンションの一室へ入っていくところが確認されました。
マンションの所有者は反社会的勢力の登録該当がありませんでした。
しかし、反社会的勢力として登録されている親分の名前の郵便物が、そのマンションのポストに入っていることが確認されました。
また、深夜、近くの別ビルの屋上に登り麻雀店店員達が入った部屋の様子を確認しました。
中の輩がタバコを吸う際にカーテンと窓をあけた時、室内の壁に暴力団の綱領が額縁に入れられて掲載されていることが確認できました。
望遠レンズで反社会的勢力の綱領を撮影し彼らが反社会的勢力である動かぬ証拠を獲得しました。
この案件も無事解決し、その後調査員も安眠できるようになりました。
ケース4:経費の横領
依頼者:外資系の太陽光発電工事会社
対象者:従業員
相談案件:従業員が高額な交際費や出張経費を計上している。
対象者から提出された飲食代や国外出張の際の経費の領収書の事実検証と夜間の接待の様子を三日間行動を調査する調査依頼を受けました。
夜3日とも、対象者は、下請けの工事会社の代表者から接待を受けていました。銀座のクラブのホステス達を同伴してクラブに向かいます。
1軒目のクラブを出た後、次の店へ向かう際のタクシー待ちの時に、調査員は対象者と取引先の会話を聞くことができました。会話の内容から対象者は下請工事会社に工事代金を水増しして請求させ、水増しした金額を接待費にあてるように下請け会社社長に指示していました。また、対象者はクラブのホステスを妾として囲っており、下請け会社社長にそのお手当を負担するように相談していました。
調査対象者は下請け会社の接待が終わると、個人的に行きつけのクラブに通っていることがわかりました。その店に対象者の妾が勤務していて、店が終わると対象者は妾と共にタクシーに乗り、妾の住むマンションにツーショットで入りました。後にこの妾の自宅のタワーマンションは、下請け会社社長の名義で契約されていることが分かりました。
対象者が、提出した領収書の検証結果で、タクシー代のほとんどは妾の自宅までと、妾の女性の自宅から対象者の自宅までの代金であることがわかりました。また海外出張の際、対象者は、妾と同伴で渡航していおり、業務は会議出席の1日のみですが、その前後の5日間は妾との観光旅行であったことが判明しました。
これらの証拠をもとに依頼者法人は対象者を背任横領で懲戒処分とする方針を固めました。
まとめ:社員の素行調査は探偵のプロにお任せ
会社内の問題が顕在化する前に、なるべく早く素行調査を実施しましょう。プロの探偵であれば、法律違反のリスクを抑えつつ、迅速に社員の素行調査を行うことが可能です。
JAPAN PI では社内トラブル防止のための調査依頼を受けつけております。