大阪府で探偵が位置情報取得で逮捕、迷惑防止条例違反

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2024年3月7日、大阪府摂津市で一人の探偵が、無承諾のGPS使用で、位置情報を取得した容疑で逮捕されました。大阪府迷惑防止条例では、いやがらせ的な目的や不正な金品取得目的等に基づく、正当な理由のない無承諾の位置情報取得が禁止されています。

いやがらせ目的の依頼

逮捕されたのは、ある男性の車に秘密裏にGPS装置を取り付け、その位置情報を無許可で追跡していた探偵業を営む大阪府摂津市の男性です。大阪府警によると、この探偵は「追跡対象の車を容易に追うため」との理由でGPSの無承諾使用を認めているといいます。しかしながら、この追跡は、家族の浮気調査で家族が共用する車両に対する位置情報取得等、正当な理由と認められない目的で実行されていたようです。

被害者は、自分の車が何度も尾行されていることに気付き、車体の下部に隠されていたGPS発信器を発見し、警察に通報しました。2023年2月に改正された大阪府条例に基づき、無断で位置情報を取得した行為が摘発されたのは、今回が初の事例となります。

悪意の感情に基づくつきまとい

今回の事件では、探偵の調査活動ですから、探偵が対象者に直接、いやがらせをしようとしたわけではないでしょう。しかし、正当な理由が認められない目的の調査に関与したため、迷惑防止条例違反として取り扱われたものとみられます。迷惑防止条例改正の主旨は、ストーカー規制法で対象がとなる「つきまとい等」の取り締まりです。ストーカー法対象外の目的は、「ねたみ」、「恨み」、その他の悪意の感情又は性的好奇心を充足する目的、不当に金品その他の財産上の利益を得る目的等、正当な理由がないつきまとい行為です。正当な理由のない無承諾位置情取得も、迷惑防止条例で規定するつきまとい行為です。

報道だけでは、詳細は明らかにされていませんが、加害者男性は、依頼者の詳細について黙秘している模様です。家族の浮気調査であれば、正当な理由とされ、処分を免れるので、依頼者について黙秘する必要はなさそうです。いやがらせ的な目的の調査依頼を受けたために、真相を語れない状況に陥っている可能性が高いです。更に、加害者の探偵は、尾行がバレているのに追跡を継続していた模様です。そうなれば、迷惑防止条例の規定の、行動を監視していると知り得る状態にしたと認定されます。従って、この事件は、探偵が、悪意の感情に基づく正当性を欠く依頼を受け入れ、対象者に尾行が発覚したのに追跡を継続した結果、迷惑防止条例に規定するつきまとい行為を行い、処分された事例だと見られます。

大阪府迷惑防止条例の抜粋

以下に大阪府迷惑防止条例の関連個所を引用しておきます。

大阪府迷惑防止条例(2023年

2月改正)
第十条 何人も、妬み、恨みその他の悪意の感情又は性的好奇心を充足する目的(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第二条第一項及び第三項に規定する目的を除く。)による場合、不当に金品その他の財産上の利益を得る目的による場合等、正当な理由がないのに、特定の者に対し、次に掲げる行為を反復してしてはならない。
一 次に掲げる行為(イからニまで及びホ(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全若しくは住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。以下「つきまとい等」という。)
イ つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をうろつくこと。
ロ その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
ハ 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
ニ 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
ホ 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等(次のいずれかに該当する行為(電話をかけること及びファクシミリ装置を用いて送信することを除く。)をいう。)をすること。
(1) 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)の送信を行うこと。
(2) (1)に掲げるもののほか、特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為をすること。
ヘ 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
ト その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
チ その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的方法による記録に係る記録媒体その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的方法による記録その他の記録を送信し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
二 次に掲げる行為(以下「位置情報無承諾取得等」という。)
イ その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置(当該装置の位置に係る位置情報(地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第一項第一号に規定する位置情報をいう。以下同じ。)を記録し、又は送信する機能を有する装置で公安委員会規則で定めるものをいう。以下同じ。)(に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置を含む。)により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を公安委員会規則で定める方法により取得すること。
ロ その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として公安委員会規則で定める行為をすること。
https://news.yahoo.co.jp/articles/413bebaba6009f4f9e5183ae8af3359b8ccac0a7

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