身辺調査の一つである、勤務先調査とは対象者の就業先(所属や収入源)を判明させる調査です。しかし、勤務先調査は身辺調査の中でも繊細な部分が多く、依頼者のプライバシーや探偵の適正な手法を守ることが求められます。そこで、本記事では、勤務先調査の方法、依頼する際の準備、注意点について詳しく解説します。
勤務先を調べる身辺調査
勤務先調査は、探偵が行う身辺調査の一つで、様々な理由から依頼が寄せられます。
勤務先調査の理由は、以下の通り多数あると思います。
- 債権回収
- 訴訟相手の就業先
- 慰謝料請請求相手の身元確認
- 取引相手の実態の確認
- 退職社員の動向
- 夫や妻の浮気相手の勤務先
- 慰謝料の取り立て
- 交際相手の実態の確認
無職の可能性は?
まず対象者に職業があるのかどうかが問題です。当然ですが、無職の対象者の勤務先は調べる事ができません。探偵興信所に相談する際には、まず、調査対象者のプロフィールのアウトラインを通知して、見積もりを取る必要があります。探偵興信所業者にとって、勤務先調査は、調査対象者の状況を聞かずに固定料金で見積もりすることが困難な調査項目です。その点を理解した上で、業者へコンタクトすることをおすすめします。
調査手法は何があるのか
私達の勤務先の情報を把握している行政機関や民間業者ははどこでしょうか?少し考えてみてください。
勤務先、つまり、労働の収入・所得は、税金・保険・年金・投融資・ローン・クレジット等と密接に関わっています。対象者の情報を持っている団体や関係先を以下に記載します。
- 税務署(所得税)
- 自治体(住民税・国民保険)
- 年金事務所(社会保険・厚生年金)
- 金融機関(融資・ローン)
- クレジット会社(クレジットカード・ローン)
- サラ金会社(サラ金)
- 賃貸物件の管理不動産業者・所有者(賃貸契約)
- 近隣者(おおよその情報)
- 対象者本人
- 親族
しかしながら、この中の公私の団体(役所、金融機関、会社)が、法的な第三者開示義務がある場合を除き、対象者の勤務先を情報開示することは、原則、ありません。
法的な第三者開示義務を課す方法は、弁護士法23条照会や裁判所の調査嘱託手続き位しかありません。(民事執行法改正後、養育費取り立てに関してのみ、行政機関が勤務先データを開示することになります。)しかしながら、給与の差し押さえを目的として、こうした手続を先に進める事は、費用面や実務面であまり現実的ではありません。近隣者の事情聴取でおおよその外出時間や職業についての風評を取得することは可能な場合がります。親族が当方の依頼者側へ情報提供してくれる確率は低いです。偽装工作的な手法で、調査対象者本人から情報を聞き出す方法は不可能ではありません。
概して、現実的な調査手法は、行動調査(尾行・張り込み)となります。ただし、対象者が、大手の会社経営者や役員、著名人、ネット系の有名人、ネット系で積極的に情報開示している人物であれば、公開情報の収集で勤務先が判明する場合もあります。
職種や勤務形態は何か
行動調査を行うことになった場合、対象者の勤務形態が何かがキーポイントになります。
税務面での所得で勤務形態を分類すると以下になります。
- 給与所得者(会社員)
- アルバイト所得者(パート・アルバイト)
- 事業所得者(会社経営・自営業・一人親方)
- 雑所得者(フリーランス、ネット系ビジネス、金融投資者、風俗業、印税者、年金者受給者)
- 不動産所得者
外出して事務所や店舗に出勤するのか
行動調査は対象佐hが、自宅から外出してくれないと勤務先を判明させることが困難です。
仮に給与所得者だとしても、いつ外出するのかによって、行動調査の料金が変わります。
依頼者は、行動調査を時間契約で委託します。従って、通常、行動調査は時間料金制で課金されます。
行動調査に必要な時間が増えると、調査料金も増えます。
勤務時間が一定しているか
日勤、シフト制、不定期勤務といった勤務時間によって難易度が変わります。
普通の会社員(給与所得者)であっても、勤務時間がいつかによって調査の難易度が変わります。
日勤で朝外出して事務所へ出勤するなら4時間程度の行動調査1回で勤務先が割り出せる可能性が高いです。
タクシー運転手・看護師・介護師・警備員等のシフト制勤務の場合、週3回だけのアルバイト勤務者の場合は、種菌時間を予測することが困難です。
従って、勤務先が判明するまで、何回も時間帯や日を変えて調査することになり、行動調査の総時間数が15時間や25時間になる可能性があります。
派遣社員や外注一人親方の場合
給与所得者であっても、派遣社員の場合、我々は、派遣先の事務所を行動調査で判明させることができます。
しかし、派遣元を判明させるには聞き込み等、別の調査が必要になります。
土工等で現場に建設現場に直行直帰する人物の給与支払元を割り出すのも難しいことです。
直行直帰が基本の営業マンや、派遣先の個人宅や施設へ直行直帰する介護師等も同様に調査が難航します。
自宅の立地条件
自宅で対象者を見つけることが容易かどうかも行動調査の難易度に影響します。
- 対象者の写真があるのか
- 移動手段(徒歩、自転車、自動車等)がわかるのか
- 監視場所の自宅が監視しやすいのか
対象者の写真も自動車等の情報もなく、オートロックのマンションが自宅で部屋の監視が外からできない場合等が最も難易度が高くなります。
不可能ではりませんが、こうした場合は、依頼者が多めの予算組をしないと結果を得にくいです。
雑所得者の場合
雑所得者の事例としては以下のものがあります。
- FXや株式等の金融投資所得者
- 不動産所得者
- アファリエイト、ブログ収入、転売屋、原稿料所得者等のネット系所得者
- フリーランスの自由業者
このパターンの調査対象者は、廃棄物調査等でゴミから情報が得られる場合を除き、行動調査では勤務先や職業を判明ささせることは非常に困難です。
ただし、長時間張り込んで行動を確認すれば、何で収入を得ているかはおおよそ判明します。
給与の差し押さえが可能かどうか
勤務先割り出しの目的が、給与の差し押さえだとすると、給与所得者以外の勤務者は、現実的に差し押さえが困難です。
アルバイト勤務でも、雇用契約となっちて、雇用者が、報酬支払調書を発行したり、源泉徴収を行っている場合は、差押が可能でしょう。
しかし、雇用形態が、外注(請負契約)となっている場合は、勤務地や職種が分かったとしても、給与の差し押さえがほとんど不可能です。
勤務先調査の見積もり
勤務先調査を具体的にどのように行うかをイメージしていただければ、勤務先調査の見積もりがいかに困難であるかはご理解いただけると思います。
難易度の低いもので4時間程度の行動調査で結果判明します。
中程度の難易度の案件で12時間程度、難易度の高い案件は30時間から40時間程度の行動調査やその他取材調査を行わないと結果判明に至りません。
まとめ
取引や交際等の身辺調査目的や差し押さえ目的で、勤務先の情報を得たいというニーズがあります。
SNSやネット情報等で、自身の勤務先を公開している人物に関しては、簡単に勤務先が判明します。しかし、実際は派遣社員で別の給与支払者があったり、業務委託勤務で実際は個人事業者だったりする場合もあります。特定の就業先がないパターンもあります。無職や専業主婦や失業中の人物や、投資収入や遺産や年金や生活保護費で生活している人物もいます。
ということで、無職や特定の就業先がない可能性を想定して、勤務先調査を実施しなければなりません。また、仮に特定の就業先があるにしても、行動調査での対応の場合、一定の出勤時間があるのか、テレワークの可能性がないのか、を見極めて調査を実施する必要があります。また、データ登録の照会をする際には、例外的登録の可能性も考慮する必要があり、事前に注意点をよく理解しておく必要あります。
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