裁判所の特別送達とハーグ送達条約 

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訴訟を提起する際、皆さんは弁護士に相談に行くでしょう。弁護士に書類を作ってもらえれば、それだけで訴訟が進んでいくと思っていませんか?

実際には、裁判所が被告(訴えられた側)に、訴状(裁判所から訴えられたことを知らせる通知)を送達する手続きが成功した時点で、初めて裁判が始まります。この手続きは「特別送達」と言われますが、特別送達がスムーズに成功しない事例が多数発生します。今回はその問題について解説します。

日本における裁判の手続きの流れ

まず、弁護士が裁判所に対して、訴訟を提起する手続きを行います。それを受けて、裁判所は被告に訴状を送達する手続きを行います。この訴状の送達は郵便局が対応しますが、普通の郵便配達と違い「特別送達」として扱われます言われています。

日本では、裁判所の特別送達は、郵便局の配達員が担当することになっています。

裁判が起こされた通知ですから、いい加減な配達は許されません。被告がきちんと書類を受け取ってないのに、特別送達が完了したと申告されれば、被告が大きな損害を被る可能性があります。そういう意味で、裁判所からの書類の送達は非常に重要な意味を持っており、厳正な取り扱いが求められます。

特別送達が失敗する場合

実務上、個人への特別送達は、かなりの確率で失敗します。誰でも訴えられれば、逃げたい気持ちが出るものです。

基本的に、1回目の送達では、郵便局員は日中に訴状を届けます。日中は家を留守にしている人も多いでしょう。留守の場合、郵便局員は、不在票を郵便受けに入れて訴状を持ち帰ります。帰宅してから不在票を見て、裁判所の特別送達と書いてあれば、自分が訴えられたことがわかります。折り返しの連絡をしなければ、訴状を受け取らなくて済むため、裁判から逃げられると期待する人も多いでしょう。

また悪いことに、郵便局は特別送達においても、ゆうパックや一般書留と同じ不在票を使用します。本当は、裁判所からの特別送達は、無視や受け取り拒否ができないことになっています。無視や受け取り拒否を行っても、原告が他の手続きを行えば、結果的に裁判が進行します。被告は裁判が開かれているのに、出廷しなければ、不在裁判となり敗訴します。

郵便局の特別送達の不在票には、そのような説明は全く書いてありません。皆さんもご存知の通り、ゆうパックや一般書留の不在票には細かな説明欄などないため、当然そうなります。したがって、多くの人は、特別送達であっても受け取り拒否すれば裁判から逃げられると勘違いします。

特別送達の場合、郵便局員は1回目の訪問で不在であっても、一週間後に再度訪問します。しかし、裁判を逃げたがっている被告であれば、2回目に訪問された時も居留守を使うなどして、訴状を受け取りません。最初の不在票で訴えられたことが分かればそれ以降、誰が訪問してきてもドアを開けないようになります。郵便局員が来たときに、偶然ドアを開けてしまったとしても、私は留守番のもので本人はいませんなどと嘘をつくこともしばしばです。

そうなると郵便局は、特別送達が不成功になったとして訴状を裁判所に戻します。裁判所は念のため次に休日指定の特別送達を行ったりします。しかし、一度裁判を逃げることに決めた被告は往々にして、休日であっても居留守を使い、訴状を受け取りません。

付郵便送達と公示送達

上記のように訴状が受け取られなかった場合、原告側は付郵便送達(ふゆうびんそうたつ)という手続きをとることによって、裁判を強制的に進行させることができます。「付郵便送達」というのは、非常にわかりにくい用語です。簡単に言うと、被告が送達先の住所に居住している事を証明する「住居所調査報告書」を裁判所に提出すると、裁判の訴状が被告に届いたものとみなす、という手続きです。裁判所も、被告に裁判が起きた事を通知せずに裁判を始めるわけにはいきません。本当はそこに居住しているのに、わざと裁判の通知を受け取らなかったという証明が必要になります。そのため、裁判所は原告に、被告がそこに居住しているという現況確認や、近隣者の目撃証言などを記録した報告書、「住居所調査報告書」を提出させるわけです。

この手続きでは、張り込みや特殊なデータ照会が要求されているわけではありませんが、現地調査を全く経験したことがない人にとっては、簡単にできるものではありません。探偵業者はこうした案件を専門知識を用いて取り扱うことができますが、そのことが社会的には認知されていないのが現状です。

他に、被告の住民登録の住所は分かるものの、そこは登録上の住所であり、実際には空き家になっていたりする場合があります。こうした場合も、特別送達が不成功に終わります。被告の居所が不明の場合は、「公示送達」という手続きを行うことで裁判を進行させることができます。公示送達の場合も、現地の住居所調査を行い、その報告書で手続きが進んでいきます。公示送達では、2週間にわたり、裁判所の掲示板に訴訟提起の情報が貼り出されます。被告が偶然それを見る確率はほとんどゼロですが、公示によって被告への通知を行ったとする、ある種の「お約束」となっています。

国際的な特別送達の場合

さて、これまで国内の送達を解説しましたが、国際的な送達の場合、どうなるかご存知でしょうか?

例えば、日本から海外の個人や法人を訴える場合、郵便局の特別送達は使えません。また、その逆に海外から日本の個人や法人を訴える場合も、日本の郵便局の特別送達は使えません、

日本の特別送達は、海外の国々からすると非常に特殊な方法です。まず、裁判所からの通知は厳正な取り扱いが求められるため、一般の郵便物を扱う郵便局が担当することはまずありません。裁判所の通知を送達する、専門の職業(プロセスサーバー)が存在する国が多くあります。また海外の多くの国では、裁判所の送達は探偵業者の主要な業務の一つでもあります。

ただし、国によって裁判所の特別送達の方法がバラバラですので、そうしたカルチャーギャップを埋めるために「ハーグ送達条約」という条約が存在します。このハーグ送達条約を締結している国の間では、各国の中央当局として定められた機関が特別送達を仲介します。日本の中央当局は外務省となります。

したがって、正式な国際的な特別送達の方法としては、ハーグ送達条約に則って各国の中央当局を通して送達を行うことになります。

特別送達と住居所調査の流れ

日本国内における裁判所の特別送達、日本から海外への特別送達、海外から日本への特別送達の3つのパターンについて、分かりやすく解説した動画をご用意しました。動画をお好みの方は、このブラウザ内で再生できます。動画と同じ内容について、このまま本記事でも解説していきます。

裁判所からの書類送達

裁判所は神聖な場所であり、裁判所からの訴状や召喚状は確実に被告に届けられなければなりません。そのため、各国で、書類を送達する方法が厳密に定まっています。

日本から日本国内への送達

日本国内では、裁判所からの送達は郵便局の特別送達という方法で行われています。被告が送達物を無事に受け取る場合は問題はありません。しかし、受取を拒否する人物や、住所不定となっている人物に対しては、特別送達が完了しません。送達が不成功に終わった場合、原告側が現地の住居所調査を行い、裁判所に報告書を提出する必要があります。この際の住居所調査は専門の調査会社に依頼するとスムーズです。

日本から海外への送達

国境をまたぐ送達の場合、国際間の民法の違いを是正するためのハーグ送達条約に則って、送達を行うことが基本となります。西欧諸国やその旧植民地諸国では、裁判所の送達を行う専門業者がいます。この職業はプロセスサーバーと呼ばれます。探偵業者がプロセスサーバーも兼ねている場合も多くあります。そういう意味で、日本から海外への送達の場合、ハーグ送達条約に則った送達よりも、現地のプロセスサーバーを雇った方がスムーズに事が運びます。

海外から日本への送達

海外の裁判所が日本の被告に書類送達をする場合も、ハーグ送達条約に則って送達を行うことが基本となります。しかしハーグ条約を通した方法では時間と手間がかかるため、日本の探偵業者などを雇って送達を行うことも可能です。これを直接交付による外国送達と言います。翻訳文をつけているかどうかなど基準を満たしてないと非合法とされる可能性もあるため、注意は必要です。

特別送達の住居所調査はプロにお任せください

日本国内の案件はもとより、日本から海外、ならびに海外から日本への送達案件について、お困りの際にはJapan PIにご相談ください。専門性と最高水準のスキルを備えた探偵調査員が、現地での調査から報告書の作成まで、スムーズに対応いたします。Japan PIはCII(国際調査協議会)およびWAD(世界探偵協会)に加盟しており、国際的な案件にも各機関との協力のもと対応可能です。

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