素行調査の聞き込み方法|プロの探偵が解説

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探偵の聞き込みは、多くの場合、肩書や目的をカモフラージュした方法で行われます。これは専門用語で「内偵調査」と呼ばれます。調査対象者に、調査されていることを気づかせないように調査をする、という意味です。

「肩書や目的を偽装するなんて、詐欺ではないか」という方もいるかもしれません。しかし、刑法上の詐欺罪は、人を騙して財物を交付させる行為です。騙すだけでは、金銭等を取るわけでなないので、刑法上の詐欺罪は成立しません。嘘をつくことは、モラル的に好ましくないかもしれません。しかし、探偵調査の聞き込みで、肩書や目的を偽装することは、依頼者の生命や財産、身体の保護の為に行うものであり、社会的に許容されるものです。警察の刑事の聞き込みでも、肩書偽装や目的偽装は日常的に行われています。

聞き込みの用語「ソーシャルエンジニアリング」とは?

肩書や目的を偽装して情報を取得する方法は、社会学的な用語では、ソーシャルエンジニアリング(Sotial Engineering)と呼ばれます。ソーシャルハッキングと呼ばれることもあります。アメリカ英語の業界用語ではPretexting(プレテキスティング)、イギリス英語ではBragging(ブラギング)という、調査業界の専門用語があります。

ソーシャルエンジニアリングは、元々、軍事的スパイ活動や、産業スパイ等の諜報活動を起源とする特殊技術です。ただし、詐欺犯罪にも悪用される可能性がある特殊技術です。

振り込め詐欺のソーシャルエンジニアリング

振り込め詐欺、特殊詐欺、架空請求詐欺等、詐欺犯罪を行う人物が被害者を騙す際にも、ソーシャルエンジニアリングの手法が利用されています。

振り込み詐欺の犯行手口では、肩書偽装に関して、犯人は以下のような手口を使います。

  • 親族(息子等)
  • 警察官
  • 裁判所
  • 弁護士
  • 市役所
  • 年金事務所
  • 銀行
  • 証券会社

目的偽装に関しても、以下のような手口があります。

  • 交通事故や痴漢行為の示談金が必要、今支払えば事件化しません。
  • 年金の還付金があるから、ATMでキャシュカードの操作をしてほしい。
  • 新規上場株を今買えば必ず儲かります。

このように、ソーシャルエンジニアリングの手口を理解することは、被害の防止にも繋がります。

探偵のモラルコード

特殊詐欺で組織的に資金獲得活動をしている反社会勢力は、騙すだけでは目的が達成されないため、財物を交付させるところまで実行します。諜報活動では、財物を交付させることが目的ではないので、その線引きを意識しなければなりません。

武器や武術と同様、使い方によっては犯罪になります。私利私欲の為に武力や武術を使うことは許されません。軍隊、警察、格闘技団体には、厳格なモラルコードがあります。探偵業は基本的に、依頼された案件を解決する為の活動であり、私利私欲の為に詐術を弄するということはありません。

自分の中でのモラルコードを確立し、行き過ぎた調査を避け、社会的な平穏を乱さないよう、自己を律していかなかればならないのです。

肩書や目的の設定が聞き込みの第一段階

スポーツで言えば、肩書偽装や目的偽装はフェイントのようなものと例えることができます。目的を達成する為に、必要不可欠なスキルです。案件毎に、どのような肩書を使用し、どのような目的で聞き込みを行っている設定にするか考えます。このように、どのような聞き込みを行うかの設計が、仕事の重要な位置を占めています。

どの方法がうまく行くかは、相手によっても違います。中には、偽装的な要素は全く入れず、すべてストレートな設定で聞き込む場合もあります。そういう意味で、どの設定が正解なのかを一概に決定することはできません。あくまでも、どの案件に従事する際も、成功率を最大限に高める為に、どういう設定で聞き込みをするかを常に考えることが重要なのです。

肩書偽装と目的偽装の具体例

例えば、中小企業の従業員、男性Aについての身辺調査で、彼の風評に関して聞き込みを行う場合を具体例として、肩書や目的をどう偽装していくか考えていきましょう。実際の依頼者は交通事故の被害者で、男性Aがその事件の加害者です。示談で損害賠償が決定しているのに、男性Aがそれを履行しないため、男性Aの現状把握の為に主に近隣者からの風評確認の調査依頼を受けています。男性Aには、配偶者Bがいることがわかっています。

肩書や目的の設定に関しては、どれが正解ということはありません。また、途中で流れが変わることもありますので、臨機応変に対応することが基本です。その意味で、実際の聞き込みの前に3パターン位用意しておくのがよいでしょう。

パターン1:融資の審査を装う

「ローン会社(ノンバンク)からの依頼で、融資の審査のための風評確認を行っています。Bさんが今回保証人として名前が出たので、審査対象となっています。」といったように、「融資の審査」というキーワードを使用します。

「融資に関して、担保不動産などがないため、近隣者からの風評で『反社会的勢力と関係がある』というような噂がないか、確認させて頂いています。」というような言い回しでも良いでしょう。

パターン2:ヘッドハンティングを装う

「ヘッドハンティングの会社からの依頼で、Aさんについて現地確認を行っています。この方は優秀なエンジニアなのですが、引き抜いて雇用した場合に問題行動がないかどうか、近隣者からの風評を確認させて頂いています。」といったように、あくまで対象が優秀な人物であり、引き抜きというポジティブな動機に基づく調査である、と言うこともあります。

「反社会的勢力との関係の噂などがないかどうか、人間性に問題ないかどうかなどを確認させていただきたいです。」といった確認も有効です。

パターン3:親族からの依頼を装う

「Bさんの旦那さんの親族から依頼された、Aさんに関しての人物調査です。Bさんの親族が、Aさんの素行について心配しています。Aさんの家庭の事情や親族に問題のある人物がいないか、確認させて頂いています。」といったように、「Bさんの親族からの依頼」という方法もあります。

最初から質問を並べすぎると、聞かれた人物は警戒します。こちらから既に分かってることを話し、相手が知らない情報を漏らすのではなく、問題がないかどうかだけ回答すればよい、という安心感を与えることが大切です。近隣者なら、常識的に分かっていることだけを話せばよい、という雰囲気を作ります。

聞き込みのテクニック

心理的揺さぶり

人間には、生来、褒められると否定したくなる心理や、間違ってることを訂正したくなる心理があります。これをうまく聞き込みの中で利用します。

「Aさんは頭脳明晰な方で、外国語も堪能なようですね」、とか、「Aさんは、優秀なエンジニアで素晴らしい人のようですね」などと、わざと褒めると、聞かれた人が反動で話しやすくなります。間違っていることを訂正したいという欲求を刺激して、真相を聞き出すというテクニックです。

直接質問をなるべく避ける

取材の時にはなるべく直接的な質問は避けます。「〜ですか?」と直接質問が何回も連続すると、疲れた人は尋問されているように感じ、不快感を持つ可能性があります。また、全て話していいのかどうか、不安になる部分もあります。ですので、推測したことをかまかけで言葉にして。被取材者にぶつけるようにします。

例えば、「Aさんは多重債務になってしまって、家を売却しないといけない状況になったんですね?」など、誘いのジャブを打ちます。もしそれが当たっていれば、聞かれた人が説明を補足してくれます。外れている場合はそんなことはないですよ、訂正してくれます。

押したら引いて世間話をする

きわどい個人的な話が連続すると、聞かれた人も全部話していいか、不安になって緊張してきます。緊張をほぐすために、「ちなみにこの辺りは水産業が盛んなんですか?」「この周辺は、2011年の大津波の時、被害を受けましたか?」など、地元に根付いた質問をすることもあります。あるいは、「コロナウィルスの影響はありますか?」など、その時の一般的な話題を振るのも有効です。それで一回緊張を聞くことによって、地域性や地元での生活状況について、一般的な知識も得られます。対象者がその地域に居住しているわけですから、地域性の情報も報告書に入れれば、より詳細な報告ができます。

また、世間話をしている間に、聞き忘れていたことを思い出すことができます。また長く話せば話すほど、お互いに信頼感ができてくるので、突っ込んだ質問がしやすくなるメリットもあります。

世間話のあとは、再び攻めに転じる

ある程度世間話が進んだら、今度は「そういえば、対象者のAさんはは水産関係の仕事をされてますね?」などと話題を転換して、本題に戻ります。あるいは、「Aさんの奥さんは、ものすごく美人で有名な方ですよね?」と言ったように一度かまをかけて、誘導尋問を行います。褒めると否定したくなる心理反応を利用して、対象者の過去の職歴についての情報収集を試みます。

まとめ:うまくいく聞き込みの方法とは?

このように話の流れの中で、押したり、引いたり、誘導質問や、かまかけをしたりしながら、じわじわ情報を絡めとっていくというのが聞き込みの極意です。

Japan PIはプロの探偵として、日々聞き込み調査を行っています。探偵の調査に絶対の成功はありませんが、少しでも成功率を高めるべく研究を重ねています。素行調査の依頼については、以下のページをご覧ください。

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