公開情報から戦いの物量問題を考察

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なぜ探偵にとって地政学が重要か?技術、戦略、気候、文化、産業が大いにリンクし、公開情報から国際情勢を予見することは諜報の基本だからだ。相手国の兵力、進退軍のタイミングや継続期間は国内経済が当然関わる。大本営情報参謀として有名な堀英三はアメリカの軍事産業の株価変動を読み、空襲のタイミングを的中させたという。ウクライナ開戦後、各国はロシアとの全取引の停止、企業の撤退と経済制裁を行った。一方で原油が主要輸出項目であったロシアは原油高騰リスクを政治カードとして持つ。今回は堀栄三に倣い、先月のイギリス国防省発表から経済と物量に関するものを追跡しよう。

■9/14イギリス国防省Xポスト
ウクライナはリブネ原発で欧米製の燃料集合体を使用し燃料補給に成功した。国営の原子力発電所運営会社であるエネルゴアトムが行ったのだが、これまでの原発はソ連時代のものであり、ロシア頼りな面があったためエネルギー面で大きな一歩となる。

■9/24Xイギリス国防省Xポスト
ロシアは局部的にガソリン・軽油不足に見舞われている模様。原因は戦争に限らず収穫期を迎えた農業部門からの短期需要、製油所の定期メンテナンス、過剰輸出と複数の原因が交錯している。このため9/21、国内価格の安定を図ったロシアは全域的にガソリン・軽油の輸出を停止した。

■9/28イギリス国防省Xポスト
ロシア航空宇宙軍(VKS)は2022年2月以降、約90機の固定翼機を失い一部の戦闘機の出撃が増加している状況にある。航空機には飛行時間で寿命を予測することができる。現状の出撃回数の多さから多くの機体の寿命を消耗している可能性が高く、戦術航空戦力の生存可能性に影響する。

ウクライナのエネルギー確保の成功と裏腹に、ロシアでは国内でガソリン不足に陥った。これは製油所の部品等を西側企業に依存していたことが影響し、完全な問題解決はできていないだろう。原油高の影響力に頼ることはできなくなりつつある。戦闘機の損失は一機の損失が他機の負担となり総数が減る教訓だ。戦うための経済的体力は徐々に弱まっているのがわかる。

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