親子断絶防止法(共同養育支援法)の問題点は?|探偵が語る具体例

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親子断絶防止法(現在は「共同養育支援法」とも呼ばれています)の制定が、議員立法として議論されています。探偵としては、虚偽DVによる子供の連れ去り案件などを調査する機会があります。現行の法律における問題点と、新たに議論されている共同養育支援法について解説します。

子供の連れ去り、現行制度の問題点は?

2014年、日本は子供の連れ去りに関するハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)を締結しました。本来であれば、一方の親による日本への子供の連れ去りを防ぐ条約です。しかしながら、未だにハーグ条約でも解決しない、日本人の親による子供の連れ去り事案が後を絶ちません。調査現場では、連れ去られた子供の捜索・実態調査の事案が増加傾向となっています。日本人の母親による子供の連れ去りが多数ですが、日本人の父親による連れ去りも散見されます。

2014年以降、子供の連れ去り事案数は減少しましたが、子供の返還支援要請が提出された案件のうち、返還が成功した事案は30%に過ぎないという外務省の統計結果があります。日本へ子供を連れ去った親の所在が不明で、執行が不可能な案件や、他方の配偶者からのDV被害の申告で、返還が却下される案件があります。DV被害の申告の中には、配偶者からのDVを虚偽申告する事案も目立っています。

日本の司法機関では、DV被害の事実を入念にチェックする制度はなく、一方の配偶者の主張を鵜呑みにしてしまう傾向があります。日本の司法や行政でDV被害が認定されれば、子供を連れ去った親は、ハーグ条約のDV被害への特別措置制度を悪用し、連れ去り行為を正当化できるのです。具体的には、日本のDV等の支援措置を悪用し、住民票や戸籍の第三者請求がブロックされ、シェルター等への入居も可能となり、ハーグ条約の返還支援措置の適用を免れることができます。仮に海外の裁判所でDVの事実が認定されなかったとしても、ハーグ条約に基づく返還支援措置では、日本政府は子供の所在を強制捜査するようなことはありません。執行対象の子供の居所が不明であるために、返還支援措置が滞っている事案も多数あるのが現状です。そうなれば、子供を連れ去られた外国人の親は二度と、子供と会うことができなくなります。

連れ去った親は海外から誘拐犯のレッテルを貼られますが、それさえ気にしなければ、子供との生活を維持することができます。そして、虚偽のDV申告によって、裁判や返還支援措置の手続きを遅らせ、子供との生活の既成事実を作ることできます。一度そのような既成事実が成立すれば、継続性の原理(Principle of Continuity)を主張することができ、子供の返還を拒否する材料を増やすことできるのです。ちなみに、継続性の原理とは、子供が現地での生活を長く続ければ続ける程、その環境に順応している為、子供の生活環境をそれ以上変えない方がよいという考え方です。ハーグ条約で子供の返還支援措置が当然受けられる案件であっても、協力な強制執行機能が欠落している日本の司法制度では、返還が成功しない事案が多発してしまうのです。実際、子供の引取の強制執行といっても、執行官が自宅前に迎えに来るだけで、被執行者が、応対や引き渡しを拒否しても、逮捕や拘束されることはありません。

何より、連れ去り側の親達は、日本当局のそうした実態を熟知しています。子供の親権問題を専門に扱う弁護士から、日本の制度の実態について、アドバイスを受けていることもしばしばです。一説によれば、一部の人権派弁護士と呼ばれる弁護士が、虚偽DVの申告方法やハーグ条約の返還支援措置を免れる方法を積極的にアドバイスしているとも言われています。法の抜け穴を利用し、日本から子供を連れ去るしたたかな日本人妻は、調査現場からは、海外で生計を立てていた知識やバイタリティを、悪知恵を働かすことに転用しているようにすら感じられます。

親子断絶防止法とは

国内の法体制を見てみましょう。ハーグ条約は一方の親による連れ去り問題への対応のファーストステップとして、「親子断絶防止法」が提案されました。親子断絶防止法とは、ハーグ条約加盟の2014年から提言され始め、現在では修正案を盛り込み、「共同養育支援法」として審議が進んでいます。

単独親権である日本では、一方の親が勝手に子供を連れ去ることで継続性の原則(長く子供と生活した親に親権が与えられる)により親権を強引に取得します。いわば、連れ去った者勝ちという状態です。連れ去りでなくとも、面会の拒絶により、離婚後、子供と別居した親は二度と会えなくなるケースが多くありました。

親子断絶防止法は、離婚後の面会交流を取り決めることを定めており、別居した親と通例より多く面会することにより、子供の利益を計ります。別居する親の不安も解消される一方、子供の連れ去りの防止が期待されています。また、DV防止法の運用規定も入っており、DVがあった家族への保護の規定も定められています。

親子断絶防止法の問題点

親子断絶防止法には、賛否両論の議論がなされました。子供の連れ去りを防止する目的を持ちながら、子供の連れ去りを追及する団体からの反対さえあります。一見、離婚後の家族体系を良くするためのものと思えますが、反対に、家族が離散するための条件を明記しているとことにもなります。

虚偽DV

リスクとして最も挙げられるのは、やはり、虚偽DVです。親子断絶防止法は、DV防止法の運用も規定しています。DVの実態が明らかとなった場合、DVを受けた親と子供は保護されます。親権の奪取を考える親は、無理矢理でもDVの証拠を捏造し、虚偽DVの申告が増加していきます。虚偽DVが親子断絶の有効な裏技となってしまう原因は社会システムにあり、現段階では裁判所の調査官など、DVを裁量する関係者に適切な判断スキルや被害状況を審査する機能が備わっていないせいです。虚偽DVにより、子供と二度と会えない親の事案が後を経ちません。

引き離しビジネス

虚偽DVの申告があることは、間違いない事実です。私達が対応した事例では、精神科医に虚偽のDV被害の診断書を作成してもらい、海外から日本へ子供を連れ去った日本人妻のケースがありました。残念なことに、「DVを主張し連れ去ってしまえばこちらのものです」とDV防止法の悪用を促進している人権派弁護士があるとも言われています。この方法は“引き離しビジネス”と呼ばれています。

引き離しビジネスが横行している現状は、子供の生育環境を悪化させる要因にしかなりません、一方の親による子供の強引な連れ去りは、子供にとって本当に利益があることでしょうか? 日本では、伝統的に離婚すれば、自動的に母親に親権が与えられる文化が定着していました。しかし、親の一方的な判断で、希望に反して片方の親に会えない場合、子供にとって精神的な負担となる可能性があります。また、母子家庭では、生活費の工面が困難になり、子供が十分な教育を受けられない可能性も高まります。子供の精神的・経済的幸福を最優先に考えるなら、一方的な判断による離婚後の片親との親子断絶は、あってはならないことだと考えます。

もう一方の問題としては、別居した親との面会が、確実に子供の利益にはなり得ない、という意見も挙がっています。子供が元配偶者と接触すれば、子供は元配偶者の思想や信条の影響を受ける可能性があり、子育てを中心的に担っている親にとって、好ましくないということです。

もちろん、離婚した元夫婦が良好な関係でなくなるのは仕方ありません。ただし、社会には、様々な思想・信条・主義・主張・宗教の違いが存在します。国が違えば、文化や言語の違いによる多様性も発生します。子供にとっては、家庭という社会組織こそが、価値観や社会ルールを学ぶ絶好の機会です。本来なら、その中に、祖父母や両親がいて、皆が家庭という社会組織の教師の役割を務めています。核家族が当たり前の現代では、祖父母の存在が欠落しています。更に、片親の世帯となると、両親のうち一人が欠落しているわけです。家庭組織で教師が一人しかいなくなれば、二人の教師がいる組織より、機能性が低下するのは自明の理です。

まとめ

親子断絶防止法の活動は、共同親権成立への一歩と呼ばれています。探偵・興信所としては、子供の連れ去り問題の解決の一環となる、子供の所在調査や、子供の生活状況の調査等に携わり、不幸な親子断絶の事案を減少させるため、少しでも貢献できるようにしたいと願っています。

探偵興信所としては、片親に子供を連れ去られた外国人依頼者の悲痛な相談を日常的に受けています。我々の力だけでは、根本的な解決にならないケースもあります。ただし、少なくとも、我々の調査活動以外でも相談者にとって有効な情報をブログを通して、皆様に共有していくことを社会使命として継続していく所存です。

子供の連れ去りを解決するために

ハーグ案件では、弁護士は短期間で大量の作業を行う必要があります。Japan PIでは、複数の提携バイリンガル弁護士の中から、最適な弁護士をご紹介できる体制を整えております。

例えば、Japan PIの顧問弁護士(Masako Banno, Attorney At Law)は、子供を連れ去られたアメリカ人が連れ去り側の日本人に対して子の返還を求めたケースを扱い、日本で初めて日本とアメリカの双方で強制力のある判決を取得。子供の返還に成功した事例を持つ弁護士です。

ハーグ条約(Hague Convention)以外でも、お子様の所在調査等をご希望の場合は、Japan PI にお任せください。親権や面会交流の紛争で、相手方の生育環境の証拠が必要な場合、弁護士の監督の元、子供の調査経験が豊富なJapan PIが責任を持って担当いたします。

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