旧統一教会は反社会的勢力なのか?宗教団体の調査、注意点について解説

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Unification Church

政治家と旧統一教会の癒着問題が注目される中、日本は、反社会的なカルト教団に寛容であるという記事が掲載されました。

『日本人が旧統一教会をのさばらせた」世界の中でもカルト教団に寛容であることを示す恥ずべきデータ』(PRESIDENT Online)

今回は、旧統一教会をはじめ、社会的に「怪しい」とされる団体の調査や注意点について解説します。

信仰宗教の調査はよくある

興信所・探偵社では、旧統一教会問題に限らず、怪しい宗教や特殊団体の調査を請け負うことがしばしばあります。

  • 家族が怪しい宗教や団体に入会したので、実態を確認してほしい
  • 家族が、怪しい団体から寄付や多額の金銭を要求されている
  • 怪しい宗教団体に入信し、所在不明となった家族を探してほしい

ターゲットは、カルト教団に限らず、霊感商法、デート商法、絶対もうかる商材や投資などのMLM商法等を含みます。

調査手法は、公開情報のメディサーチと、潜入調査や行動確認調査です。

旧統一教会の歴史と政界とのパイプ

旧統一教会は1954年に創始者のの文鮮明氏によって釜山で設立されました。その後、旧統一教会は、韓国での活動を基礎に、日本のみならず、アメリカ等西側諸国へアグレッシブな布教活動を行いました。

1960年代から70年代にかけて、アメリカでは第二次対戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争と戦争続きでした。その反動で、反体制的で退廃的な「ヒッピーカルチャー」、「フリーラブ」、「ドラッグライフ」等を標榜するカウンターカルチャーがブームとなりました。旧統一教会も、そうしたカウンターカルチャーブームの時流に乗って、急拡大に成功しました。

一方、旧統一教会は、反共産主義をポリシーとして、政治的な活動も積極的に行いました。共産主義をサタンの教えであるとしています。第二次大戦後の冷戦時代に、旧統一教会は冷戦を戦うアメリカや日本の国家元首に、資金的・人的援助を積極的に行いました。

旧統一教会は、安倍晋三元総理の祖父の岸信介元総理のみならず、ニクソン大統領、レーガン大統領、ブッシュシニア大統領らから公的な支持を獲得しました。反共と世界平和のポリシーで、旧統一教会は、韓国、日本、アメリカの政界で絶大な影響力を持つようになりました。

多角経営の統一グループ

旧統一協会は、政界への影響力を駆使して、統一グループと呼ばれる企業体を形成するに至っています。世界日報やWashington Timesのメディア、大学等の教育事業、病院経営、食品販売、建設業、自動車製造、ゴルフ場やリゾート施設開発等、韓国を中心に、アメリカ等で、多角企業経営を行っています。

Cheon Jeong Gung(천정궁 天正宮)
引用元:HJ 天宇天實修練苑

Cheon Jeong Gungは、韓国の京畿道にある世界平和統一家庭連合のメッカ。

原理研究会

一時期社会問題となった統一教会の霊感商法問題のイメージを払拭するため、旧統一教会は、「世界平和統一家庭連合」に名称変更しました。

ただし、他にも一般には、旧統一教会との関連を知られていない別団体が昔からありました。それが、大学内のサークルの「原理研究会(CARP = Colleage Association for Research of the Principal)」です。

旧統一教会の幹部の子息が原理研究会の会員になっていることが多いようです。ただし、旧統一教会との関連を知らないまま原理研究会にハマってしまう学生も多くいます。

原理研究会 Wikipedia

霊感商法

旧統一教会は、多額の寄付を奨励していたり、合同結婚式があるので、「怪しい」とされています。現在では、不安を煽って高額な寄付をさせれば、霊感商法として特商法違反となります。

今は、特商法に違反するような、あからさまな霊感商法は影を潜めたようです。

ただし、旧統一教会は、1980年代から1990年代にかけて、霊感商法的やり方で、日本から資金を集め、教団の拡大の資金源にしていた模様です。教団全体の約70%の資金は、日本から集まっていたと言われています。

旧統一教会では、日本が韓国をかつて植民地支配した罪を償うため、日本人はたくさん寄付する必要があると教えているようです。

合同結婚式について

合同結婚式は一般には異質に映りますが、それ自体が反社会的活動と言えるかはわかりません。

旧統一教会側は、合同結婚式について以下のように説明しています。

東洋の国では、昔は、恋愛結婚はなく、親が子供の結婚相手を決めるお見合い結婚が普通だった。当時は、親が子供の結婚相手を決めることが、家族繁栄の基礎を作っていた。教祖の文鮮明氏は、その東洋の旧来の考え方を、現代に当てはめ、人類全体の親である、文鮮明氏が、子供である全人類皆の結婚相手を決めている。それが、人類の平和につながる。

昔は日本でもお見合い結婚が当たり前だったので、そう言われれば一理あるかもしれません。

韓国では、1980年代から1990年代にかかて、合同結婚式で、韓国人男性と日本人女性の夫婦が多数できました。韓国在住の日本人女性の半数近くが旧統一教会の信者とも言われています。当時は、日本人女性と結婚したいためだけに、旧統一教会の信者になる韓国人男性も多数いたようです。

また、白人や黒人とのハーフの韓国人の多くも、旧統一教会の信者2世です。

危ない新興宗教とは?

大雑把に言って、以下のような特徴があれば、怪しいと思った方がいいでしょう。

  • 人類滅亡、病気、先祖の祟などの危機感や恐怖感で煽る
  • 寄付が多ければ多い程救われると多額の金銭を要求する
  • 教組が神として崇拝されている

ただし、どの宗教でも、信者は不安の解消や幸福を求めて信心します。教団は信者数拡大の為の布教活動をします、その活動の原資は信者の寄付です。また、教祖への崇拝も当然あります。

ですから、程度の差の問題です。行き過ぎた兆候があるかどうかで、怪しいかどうかを判断するしかありません。

その教団自体が、強制していなくても、布教活動に実績を上げた信者や、多額の寄付をした信者は、教団内での地位があがります。組織の一員として、団体内で、高いポジションにつきたいという思いで、自主的に高額の寄付をしたり、強引な布教を行う信者が出てもおかしくありません。

調査を禁止する厚生労働省

厚生労働省の採用選考の基準によると、採用選考に関しては、思想や信教の自由を尊重する為、宗教に関する情報収集をしてはいけないとされています。

旧統一教会が反社会的勢力と定義されるなら、その関係者を採用することは不適切と言えます。

宗教差別をしてはいけないことは自明の理です。しかし、反社会的カルト教団への利益供与はあってはなりません。その意味で、企業には、社会的なリスク管理の注意義務があるはずです。

情報収集すら禁止する厚生労働省の指針には納得し難いところがあります。厚生労働省が、特定の宗教団体や政治団体等からの圧力で、偏向した施策を実施している可能性はないでしょうか。

公正な採用選考の基本

厚生労働省は、公正な採用選考の基本として、応募者の人権尊重につき以下の情報の収集をしてはいけないとされています。

本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握

  • 宗教に関すること
  • 支持政党に関すること
  • 人生観、生活信条に関すること
  • 尊敬する人物に関すること
  • 思想に関すること
  • 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
  • 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

まとめ

旧統一教会は、反社的勢力であるという社会的イメージが先行しています。

しかし、旧統一教会は、宗教と政治とビジネスが融合した、多国籍の特殊結社のような存在で、単純に、反社会的勢力と明確に定義することは困難かもしれません。

厚労省の指針では、思想や信教については、情報収集すらせず、どんな宗教の信者も黙って受け入れるべきとされています。ただし、情報収集すらしてはいけないという考え方で果たしていいのでしょうか。

厚労省の指針では、思想や信教については、情報収集すらせず、どんな宗教の信者も黙って受け入れるべきとされています。ただし、情報収集すらしない、というのもちょっと行き過ぎかもしれません。

リスク管理の観点からは、客観的な情報収集をして、冷静に判断を下すのが基本だと思います。探偵や興信所の存在意義はそこにあると思います。

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