公開情報による反社チェック方法

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公開情報調査は、ネットストーカー(ネトスト)と呼ばれたりしますが、調査活動の専門用語では、OSINT=オープン・ソース・インテリジェンス(Open Source Intellicence )と呼ばれます。OSINTは、公開情報を収集分析し、機密情報を取得する調査手法です。公開情報とは、合法的に入手できる情報で、ソーシャルメディア記事、ネット記事、新聞・雑誌の記事、企業のプレスリリース、法人や不動産の登記簿、官報、EDINET等です。断片的な情報を分析し、点と点を線でつなぎ、機密情報を判明させる作業です。

今回はオープンソースインテリジェンスの手法をフル活用した反社会勢力の調査方法について解説します。

反社チェックの流れ

反社チェックを行う際は以下の段階で調査を進めていきます。

  1. 関係先のリストアップ
  2. データチェック
  3. 派生して判明した関係先を再チェック

派生して出てきた関係先があれば、それらをさらに再チェックする必要があります。

関係先のリストアップ

それでは、関係先を割り出す上で、何を狙えばいいかについて解説します。第一に、当該の会社の代表者や役員をリストアップします。そして、同一住所で運営されている別会社や子会社を確認します。さらに、その会社の代表者や役員が役員を務めている別法人をサーチします。他に関連住所の不動産登記から土地所有者家抵当権者などをリストアップします。役員以外の取引担当者の名前が浮上しているならそれもリストアップしておきます。

ex.役員、株主、出資者、関連会社、関連会社役員、関連会社株主、関連会社出資者、主要取引先、不動産所有者、関係先の調査方法

以下、関係先のリストアップの方法について解説します。日本の商業登記簿では株主情報や他の会社の役員収入情報について情報が得られません。他の国に比べて、アクセスできる情報が少ないため、日本では、創意工夫を凝らしてあらゆる情報源を総ざらいする必要があります。

※国際的な会社の場合は、日本語のみならず、英語やその他言語でもチェックを行う必要があります。

法人のウェブサイト 

まず、法人の資料やウェブサイト、IR情報等を分析します。基本的なことですが、法人のウェブサイトに関連会社や取引先が紹介されている場合がありますので、くまなくチェックする必要があります。

役員サーチや株主サーチ

対象法人の役員が別法人の役員に就任していないかの確認(役員サーチ)や株主を調べる場合、インターネットで役員の氏名検索を行ったり、会員制サイトの東京商工リサーチや帝国データバンク等のデータベースの人物検索を利用します。 

上場会社の場合、金融庁が運営するEDINETを閲覧して、有価証券報告書と第2四半期報告書を確認し、そこに記載されている大株をリストアップします。

他に、大量保有報告書が提出されている場合もあるので、これも確認します。大量保有報告書は、5%超の株式保有者が現れた時に、5 営業日以内の提出が義務付けられた書類です。大量保有報告書が頻繁に提出されている場合、その事実のみで経営が不安定である可能性が窺われます。敵対的な買収や仕手操作等が発生しているかもしれません。また、報告書では、株式買収者の借入先も出ています。借入先が、実質的な株式所有者である可能性もあります。

商業登記

法人登記が存在するか確認します。提供情報との差異も確認します。法人登記では、商号の変更履歴、住所の変更履歴、そして、過去から現在に至るまでの役員の氏名が確認可能です。

商号の変更があった場合は、過去の法人名を必ずリストアップしておきましょう。不祥事を隠蔽するために商号変更していた可能性もあります。過去の商号でのデータチェックも必ず必要となります。

過去の役員の氏名も必ずリストアップします。過去の役員が実質的な支配者である可能性もありますし、コンプライアンスの意識が高まったことで、問題のある役員が形式的に役員から辞任した可能性があります。

ドメイン情報 

法人 Web サイトのドメイン情報から、Domain Tools などを使って使用者を判明させることが可能です。ドメイン使用者が登記上の役員とは別の場合もあります。その場合、ドメイン使用者がその会社の実質的支配者である可能性も疑われます。

ただし昨今は、ドメインのレジストリから提供されているプライバシー保護オプションを使用して、使用者名が簡単に確認できなくなっている事例が増えています。

この場合でもDomain Toolsの使用者履歴機能を使って、プライバシー保護オプションを受ける前の情報が割り出せる場合があります。プライバシー保護オプションがかけられていても、諦めずに履歴機能までチェックしましょう。

Google Mapsやゼンリン住宅地図

Google マップのストリートビューで現地状況を確認します。ストリートビューの写真を見ると、本店所在地が、自社ビルなのか、雑居ビルなのか、商業施設なのか、工場なのか、住宅用のマンションなのか、個人の一戸建てなのか、といったことがわかります。さらに、同一住所に複数の会社が設置されている状況も分かります。 

自社ビルであれば、建物に会社名の表示看板が出ていて、ストリートビューでもそれを確認することができます。

会員制のデータサービス(Gサーチ、登記簿図書館等)でゼンリン住宅地図も確認します。ゼンリン住宅地図を見れば、本店所在地の立地状況や、建物に実際どのような表示があるかを確認できます。

※ただし、Google Maps にしてもゼンリン住宅地図にしても、登録時期と現在の状況とのタイムラグがあります。つまり、登録されている情報は1、2年前である可能性があります。これらで対象法人の名称を確認できたとしても、現在もその会社が実在するとは断言できません。 

会社の存在を確認するのみならず、ポストや玄関などに、他の会社名が表記されていないかを確認します。現地を確認した時、対象法人の敷地のいたるところに監視カメラが設置されていたりするなら、何かトラブルを抱えているか、反社会勢力である可能性を疑わざるを得なくなります。

不動産登記

法務局の会員制データベース(民事法務協会の登記情報提供サービスや登記簿図書館)で、会社の本店所在地の不動産の所有者を確認します。所有不動産に対し、小規模な法人や個人が抵当権を設定していたりしないかも確認します。それらが反社会勢力の可能性があります。財務省や市町村から差押えされている場合、税金を滞納しているということです。そのような場合、与信判断として、赤信号となります。いずれにしても、不動産登記簿でわかる関係先もリストアップします。

反社会勢力のデータチェック

関係先のリストアップが完了すると、次は実際のデータチェックを行うことになります。以下でデータチェックの方法について説明します。

新聞・雑誌記事データベース

会員制サイトの新聞記事横断検索で、代表人物の氏名や、氏名+逮捕、氏名+訴訟、氏名+行政処分、氏名+スキャンダルなどのキーワードで検索を行います。全国紙、地方紙、専門紙、スポーツ紙、週刊誌などの過去記事の横断検索が可能です。

具体的には以下のキーワードとの組み合わせのサーチが有効です。

逮捕、行政指導、送検、捜査、インサイダー、架空、脱税、申告漏れ、罰金、暴力団、ヤクザ、容疑、反社事件、違法違反、偽装、訴訟、行政処分、告訴、不祥事、スキャンダル、不正、ブラック

インターネット検索

一般メディアサーチ 

会社名や役員個人の名前で、ネット検索します。役員のインタビュー記事、法人の紹介記事、求人に関する記事等を確認し関連情報を収集します。中には一般検索の結果の上位に既に不祥事や違法行為などの記事が表示される場合があります。

データベース検索のときのキーワードを参考にすると、絞り込みができます。

最近では、ネガティブ情報がネットに出ると、書かれた本人が削除要請をするケースが増えています。弁護士を使って削除要請されると記事の掲載車やサーバーが削除に応じることが普通です。そのためネット記事検索の有効性が薄れつつあります。ただし、対象のビジネスの詳細を把握し、信頼を得るという意味では、ネット検索が有効です。

SNS・ブログ

Facebook 、Instagram 、Twitter などをサーチします。名称も、ローマ字検索やニックネームでの検索も試します。また個人の場合、メールアドレスのヘッド部分で検索すると、対象者のアカウントが見つかる場合があります。名前の検索だけでは簡単にアカウントがわからなくても、根気よくサーチを続けることで、活路を見出せる場合があります。 

2ch 5ch

2CHや5CHで、地域毎の、暴力団・不良・アウトロー系のスレッドを確認します。スレッドには、氏名がニックネームや一部伏字で出ている場合があります。通常の検索ではヒットしなくても、対象者の情報がニックネームや伏字で記載されている可能性があります。対象者の地域でスレッドがある場合は、内容を読み込んで対象者の記事でないかを見極めます。

行政処分

許認可系の業種であれば、以下のサイトで行政処分の情報が確認できます。

  • 国土交通省ネガティブ情報等検索サイト
  • 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(金融庁)
  • 人材サービス総合サイト(厚生労働省職業安定局)
  • 消費者庁(特定商取引法関連等)

社外秘情報

これは、裏技的な確認方法となりますが、運が良ければ、当該会社の社外秘の情報や、文書作成の担当者の氏名が確認できる可能性がああります。社外秘のファイルが出て、思わぬ裏情報が収集できる場合があります。

  • filetype:pdf 社外秘
  • WordやExcel等の作成者情報 オフィスファイルのプロパティ情報

担当者や社員の氏名を割り出し、念の為、それらの人物のチェックも行います。

訴訟記録

以下のような方法で訴訟記録を照会します。日本の裁判所は最高裁判例以外実質的に非公開としています。

事件番号が原告と被告の両方の名称を提供出来れば、訴訟記録を閲覧できます。しかし、反社チェックが目的の場合、最初から事件番号や原告と被告の両方の名称を知っているわけがありません。裁判所内部のデータベースを使えば、原告か被告の名称だけで、事件番号を簡単にサーチできます。しかしながら、裁判所は部外者にデータベースサーチを許可しません。

したがって、訴訟記録の検索には、以下のような手法を使用します。こうした制約から日本では、網羅的な訴訟記録の検索ができないのが実情です。

官報 

会員制の、官報情報検索サービスなどで、官報の横断検索が可能です。官報で以下の事項が確認可能です。

  • 破産記録
  • 帰化記録
  • 国家資格者の懲戒処分
  • 営業保証金の取戻し
  • 決算公告

 役員に破産歴がある場合、破産者が詐欺会社などに名義を貸している可能性があります。金に困って住民票や戸籍を第三者に販売するケースがあります。そうしたことも想定して官報検索を行います。

対象法人に社外取締役で弁護士が入っている場合もあります。また、取引の際に弁護士が窓口となっている場合、もあります。その場合、弁護士が懲戒処分を受けていないか、官報検索で確認します。中には懲戒処分を受けて弁護士資格を失っているものもあります。念のために懲戒処分の有無を確認しておくべきです。

関連著作物

対象法人や対象の役員に関しての著作物がある場合があります。そうした場合は著作物を入手し内容を確認します。

暴追センター(暴力追放運動推進センター)

暴追センターの賛助会員になると、反社会勢力のリストの提供を受けることができます。また取引相手に反社会勢力の疑いがある場合は、直接センターに問い合わせて、反社判定をしてもらえる可能性もあります。

現地確認

上述したように、地図情報ではタイムラグがある上、雑居ビルでは、すべての入居者の表記が確認できるとは限りません。その意味で、現地確認調査も必要です。

まとめ

公開情報検索は、公開情報のサーチだからといって誰でも簡単にできるものではありません。どこにどういう情報があるのかについての深い知識と、サーチする上での様々なテクニックなくして、出来るものではありません。

反社チェックに関して公開情報でチェックできる手法を完全公開しました。しかしながら、全てを網羅できるデータベースが存在しないことから、現在一般的にアクセスできるデータベースのチェックだけでは完璧なチェックとは言えません。調査のプロのみがアクセスできる特殊データも存在します。自分でできる調査に限界を感じた場合は、お気軽にご相談下さい。

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