ストーカーと偶像崇拝者

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ストーカー問題は、人探しの依頼を受ける探偵業者にとって、鬱陶しい問題です。

しかし、世の中には、自己中心的で相手の嫌がることを平気でやるストーカーと、特定の人に執着心はあるものの、切ない片思いでずっと追いかけ続ける偶像崇拝者もいます。

特定の人に執着するところは共通でも、ストーカー法上のストーカーと、片思いでずっとその人物を見つめ続ける偶像崇拝者は別物です。今回はそれを掘り下げて説明します。

ストーカーにあいやすい職種

ストーカーにあいやすい職種についての小ネタがあります。

ストーカーにあいやすい職種

コンビニの店員
宅配配達員(主婦から)
アイドル等の芸能人

ただし、悪質なストーカーに遭遇する可能性もある一方で、一目惚れされやすい職種とも言えます。

ストーカー被害者からの相談

現在はストーカー規制法が強化されており、ストーカー対策は基本的に警察の仕事です。

探偵業者に寄せられるストーカー被害者の相談の多くは、実際、集団ストーカーや脳内盗聴などを訴える精神疾患的相談です。2022年には、精神疾患者専門のストーカー対策で荒稼ぎした探偵が準詐欺罪で逮捕された事件が発生しています。

盗聴器発見調査に関しても、被害妄想的な精神疾患者の相談が実際は多いです。

宅配配達員の場合

上述したように、宅配配達員がストーカーされることが多いという統計があります。昔から成人向けビデオなどで、団地妻とセールスマンという定番ジャンルがあります。そんなわけで、主婦が宅配配達員の男性に恋愛感情を持つケースが一定数あります。

逆に、宅配配達員が、配達先の女性をストーカーして逮捕される事件も散見されます。

筆者も二十歳くらいの時に団地千の換気扇訪問販売今日やっていたことがあります。訪問先で、風呂上りでバスタオル一枚で対応するフェロモン系の主婦がいた記憶があります。筆者は、仕事オンリーだったので、購入見込みのない顧客は一刻も早くパスすることしか眼中にありませんでしたが、こちらがその気なら、情事に発展することもあったのかもしれません。

コンビニ店員等の場合

コンビニの店員等、名札をつけて接客する店舗で見かけた店員は、不特定多数を接客します。人前に出ているのでナンパされたり興味を持たれる確率も高くなります。

すぐにその場で、告白する人もいます。一方で、引っ込み思案の人の場合、声をかけられず、もじもじしているあいだに、店員が退職してしまうことがあります。その場合、辞めた店員の人探しについて、相談を受けることがあります。

旅先で知り合った人を探す人や、マッチングアプリで知り合った人を探す人も同様なのですが、対象者にもう一度コンタクトしてアプローチするだけなら問題はないと思います。しかし、対象者が再会を望んでいるとは限りません。それが確認できた時点で引き下がれる人は、別になんの問題もありません。

その場合でも諦めきれず、つきまとい等のストーカー行為をやってしまう本物のストーカーがいます。そういう意味で注意は怠らない法がいいですね。

アイドルの場合

アイドル(idol)は、英語で偶像や偶像視される人を意味します。芸能人のアイドルのファンは、特定のアイドルを神のように崇拝する偶像崇拝者です。

偶像崇拝者の代表例が、アイドルの盲目的なファンです。アイドルの偶像崇拝者は、特定のアイドルをひたすら応援します。実際にアイドルを独占したり無理やり交際しようとするるわけではありません。応援しているアイドルの、ファンクラブに入り、写真を集めたり、いろんな情報を集めたり、イベントに参加したり、アート作品やグッズをコレクションすることを生きがいとします。

アイドル本人や、売り出すプロダクションとしても、推しをひたすら応援する盲目的なファンは一番上質なファンだと思います。

偶像崇拝者

特定の人に執着心を持つ体質の人の中に、悪質なストーカーと、悪質でない偶像崇拝者がいることを上述しました。アイドルの盲目的ファンに限らず、特定の個人の偶像崇拝者になる人もいます。

キャバクラのお客さんの中にも、特定のキャバ嬢を応援していて、貢ぎまくる常連客がいます。そういう人たちは、貢いだからといって交際を強要するわけでもありません。キャバ嬢をひたすら応援し、崇拝するだけです。こういう人は、キャバクラにとっても最も上質なお客さんです。

偶像崇拝系の探偵依頼者

私たちの顧客の中にも、自分を認めさせるためのストーカー行為をするわけではなく、好意を持っている特定の人の情報収集をすることを生きがいとする偶像崇拝者がいるのです。

調査対象者の情報収集をするだけで満足し、何の接点もなく、ただ見守っているだけです。調査対象者がそれを知れば不愉快に思うのは当然なのです。しかし、依頼者が対象者と接点を持つことを望んでいなければ、対象者がそのことに気づくこともありません。

偶像崇拝者からすると、接点を持つことはないにしても、アイドル視している憧れの人を思い、祈りに近い心境で崇拝している状態が心地よいのです。偶像崇拝者は対象者に憧憬の念を持っているので、対象者が嫌がるつきまといなどのストーカー行為をするつもりは全くありません。直接の接点を持つ必要もないのです。

情報収集をする部分に関しては、ストーカーも偶像崇拝者も共通していますが、精神構造に違いがあります。アイドルやキャバクラ嬢を応援するのに比べれば、一般人に対しての偶像崇拝者は、異端者です。また、ここで言う偶像崇拝は、信仰的な意味のものではありません。いわば、片思いのプラトニックラブの延長線上にあります。

アブノーマルであることは否めませんが、少なくとも犯罪者や危険人物ではないと思います。探偵の依頼者の中には、少なからずこうした偶像崇拝者系のの依頼者があり、人探しや身辺調査を請け負っわています。

偶像崇拝者の象徴 – 「仕立て屋の恋」のイール氏

1989年のフランス映画「仕立て屋の恋(Monsieur Hire)亅の主人公のイール (Hire)氏 が、まさに、偶像崇拝者です。

https://www.imdb.com/title/tt0097904/

仕立て屋の恋 ( Monsieur Hire )

彼は、オタク的性格で、周囲から好かれていませんが、自宅窓の反対側に住んでいる女性に恋をします。しかし、彼は彼女と接点を持とうとするわけではなく、ただ、窓から彼女の様子を観察するだけの切ない片思いです。しかし、ある事件をきっかけに、偶然彼女と接点を持つのですが、結果的に、イール氏は彼女に利用され、コールガール殺害の濡れ衣を着せられました。

裏切られても、イール氏は、彼女を恨んだりしません。最後に彼女にこういいます。

「君を少しも恨んではいない。ただ死ぬほど切ないだけだ。君は喜びをくれた」

偶像崇拝者は、アブノーマルですが、献身的に相手を想っているだけで、自己中心的で相手が嫌がることを平気でやるストーカーとは違うのです。

しかし、一般者には、その違いがわからず、偶像崇拝者もストーカーの一種と認識されます。だから、この映画のイール氏も、犯罪の濡れ衣を着せられたのです。

偶像崇拝者からの相談

過去の事例ではこんなものがありました。ある偶像崇拝者的な女性依頼者のリピーター顧客がありました。

彼女はある中堅法人の二代目30歳代の女性社長で、独身でした。通勤途中のバスの運転手が取引先のセールスマンの男性など、次から次へとターゲット見つけてきて、私たちに順番に調査依頼をしていました。この依頼者の案件では、総勢8人の調査対象者が登場しました。

毎回、指定された対象者の自宅を割り出して既婚者かどうかを確認したり、数日間行動調査を行ったりしました。バスの運転手に関しては、4代目対象者まで、調査依頼が継続していました。

毎回、調査対象者が決まると、自宅、家族構成、交友関係や趣味嗜好等を、探偵に調査せます。調査対象者の詳細が分かっても、特にアプローチするわけでもなく、期間限定のマイアイドルの情報収集の過程だけを楽しんで、熱が冷めたら違う対象者を見つけてくるというパターンの繰り返しでした。

まとめ

ストーカーは、相手の嫌がるつきまといをする実害のある犯罪行為です。一方で、特定の人へ異常な執着心があるところはストーカーと共通するにしても、一目惚れした人を片思いで見つめ続ける、偶像崇拝タイプの人もいます。

偶像崇拝タイプに人は、その生態が一般人に受け入れられにくいのですが、実害はありません。

アグレッシブなストーカーと、パッシブな偶像崇拝者の違いについて、社会認知が進んでほしいと願っています。

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