諜報機関と探偵(2) − フランスの亡命タイ人襲撃事件

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今回の「諜報機関と探偵」連載第2回では、フランス在住の反政府活動家亡命タイ人に対し、チェコ人が襲撃した事件を解説します。この事件は、前回、日本の京都で亡命タイ人が襲撃された事件とも密接に関係しています。

チェコ人格闘家がフランスで亡命タイ人襲撃

2021年12月のチェコラジオ局の報道によると、2019年11月のフランスのタイ人反体制活動家のオウム・ネコ(Aum Neko)氏を攻撃したとして、フランスの裁判者が、被疑者のチェコ人3名に有罪判決を言い渡しました。

襲撃事件に関与したのは以下3名です。

  • 実行犯  ダニエル・ボカル(Daniel Vokál) 懲役26ヶ月 フランスで未決勾留中
  • 実行犯  ヤクブ・ホシェク(Jakub Hošek) 懲役26ヶ月 フランスで未決勾留中
  • 指示役  ピーター・ドナテック(Petr Donátek) 懲役30ヶ月 チェコ共和国滞在中

ピーター・ドナテック(Petr Donátek)は、プラハのサムライ学校(武芸道場)のKasumi Dojoの運営者です。2019年7月に襲撃を受け、2020年12月にもネットによる脅迫被害を受けた京都在住のパビン・チャチャバルポンプン氏の事件では、チェコのネットワークが関係していたことが明らかになっています。

なお、タイ国王のラーマ10世は、チェコ国境に近い、ドイツ国バイエルンに居住しています。距離的に近いこともあり、ドナテック氏は日本通でもあることから、日本での襲撃事件にも彼が関与していた可能性が濃厚です。

タイ国王と側近の軍関係者が、ドナテック氏のネットワークを利用して、各国に散在している、タイ人反体制活動家の粛清を指示している可能性が高いと思われます。

チェコ人による亡命タイ人襲撃事件の詳細 (2021年12月2日の記事)

以下、この事件の詳細報道の日本語訳を記載します。

注:オウム・ネコ(Aum Neko)は、MTF(男性から女性へのトランスジェンダー)のため、呼称を彼女に統一しました。

パリでの3人のチェコ人の攻撃の標的となった活動家オウム・ネコ(Aum Neko)(左)

3人のチェコ人がタイの反体制活動家を攻撃したとしてフランスで有罪判決を受けた。それらの1人はチェコ共和国にいる。

先週、フランスの裁判所は、2019年11月にパリでタイの反体制活動家と彼女と彼女のボーイフレンドを暴行したとして3人のチェコ人を有罪とした。ダニエル・ボカル(Daniel Vokál)とヤクブ・ホシェク(Jakub Hošek)はこの犯罪に対して有罪を認めた。裁判所は彼らにフランスでの懲役26か月の刑を言い渡した。フランスの捜査官により、ズマリラジオ(Radio žurnál)は、グループの3番目がチェコ共和国のプラハにある、サムライ学校(武芸道場)の創設者であるピーター・ドナテック(Petr Donátek)であることをつかんだ。裁判所は彼に30ヶ月の刑を言い渡した。

「彼らは私に近づき、私を殴り始めましたた。最初は、彼らが私の財布や電話を奪うかと思っていました。しかし、彼らは私の持ち物は取りませんでした。」と27歳のタイの反体制活動家のオウム・ネコ(Aum Neko)は、2019年11月18日の夜にチェコ人のダニエル・ボカル(Daniel Vokál)とヤクブ・ホシェク(Jakub Hošek)に襲われた様子を、チェコラジオのために説明した。

その夜、彼は他のタイの反政府活動家と一緒にパリの15区のバーにいた。伝えられるところによると、チェコ人の二人組がレストランの向こう側から彼らを見ていた。彼女がバーを出るとすぐに、彼らはフードをかぶって彼女と彼女のボーイフレンドを攻撃したとのこと。

「彼らは私の頭を殴り、蹴りました。私は仰向けになりました。私は起き上がってバーに戻ろうとしました。なんとかうまくいき、中の人たちが私を助けてくれました。顔全体に痛みがありました。スカートが完全に破れ、お腹、太もも、手に打撲傷がありました」と彼女は語った。

オウム・ネコ(Aum Neko)は、タイの軍事政権と地元の君主制を批判するLGBTの活動家です。彼女は政治活動のために数年前に家(タイ)から逃れ、メコン川とラオスを越えてカンボジアに逃げました。彼女はそこでフランス大使館に政治亡命を申請しました。チェコラジオは、この事件についてプラハのタイ大使館に連絡を取りましたが、まだ返答がありません。

ソース:Three Czechs have been convicted in France of attacking a Thai opposition activist. One of them is in the Czech Republic iROZHLAS 

襲撃事件の詳細(2021年11月27日の記事)


フランス、パリでのタイ難民への攻撃の概要:ドイツのワチラローンコーン王のギャング団は、チェコのボクサーたちを雇って政治難民を攻撃するため、チェコ共和国のマフィアネットワークに連絡を取った。

「タイの政権は私を攻撃したかった。彼はそれを行うためにチェコ共和国の犯罪ネットワークを使いました。タイの王が住むバイエルン(Bavaria)は、チェコとの国境まで約3時間でした。エージェントや大金とともにそこにすぐに行けます。タイムズとフォーブスの雑誌によると、タイの王は世界で最も裕福な君主の1人です。」とオウム・ネコ(Aum Neko)が話した。

死の脅迫

タイの反体制活動家オウム・ネコ(Aum Neko)への攻撃は、タイの反体制活動家が重要な役割を果たしている「Les revessiamois(シャムのドリーム)」の上映からわずか数週間後に起こった。彼によると、タイの政権の首脳もその映画を見た可能性がある。

オウム・ネコ(Aum Neko)は過去にソーシャルメディアで殺害の脅迫に直面したことがある。タイの反体制活動家に対する同様の攻撃が世界の他の場所でも起こっている。 2019年、ラオスで数人のタイ人が失踪し、同じ年に日本のタイの反体制活動家への攻撃が行われた。

「非常に専門的なグループが、日本のタイ反体制活動家の亡命者を攻撃しました。攻撃者は忍者のように振る舞いました。彼はアパートの窓を閉め、衣服の上からスプレーを吹き付けて皮膚を焼いた。その後、彼は逃走しました。」

組織化された攻撃

フランスの警察は、攻撃後に2人のチェコ人、ダニエル・ボカル(Daniel Vokál)ヤクブ・ホシェク(Jakub Hošek)を拘束した。どちらも2019年からフランスで刑務所に入れられており、判決を待っている。

チェコ人の1人のフランス人弁護士によると、攻撃は事前に準備され、組織化されていた。 「それは偶発的にで事前に起きた暴力ではなく、誰かが彼に攻撃するように命令しています。」とダニエル・ボーカル(Daniel Vokál)の弁護士ジャン・ローラン・パニエ(Jean-Laurent Panier)はチェコラジオに語った。フランスの捜査官によると、2番目のチェコ人のヤクブ・ホシェク(Jakub Hošek)は、タイの反体制活動家を攻撃したことで5万コルナ(5 million crowns = 約2,700万円)を受け取る予定だったと認めた。

ホシェク(Hošek)は、2019年11月にパリで彼らと一緒にいた別のチェコ人–ドナテック(Donátek)がFacebookで被害者を捜したと証言したとされている。

ドナテック( Donátek)は近くのバーエリアにいたのが発見されました。彼は2人のチェコ人の費用を支払い、タイの反体制活動家の写真を撮り、彼らを標的としてマークしました。彼は攻撃者と潜在的な顧客の間の仲介者と見なされていました」と、チェコラジオが記事を公開するために協力したフランスの日刊紙ル・モンド(Le Monde)のジャーナリストであるエイドリアン・ルガル(Adrien Le Gal)が、説明します。フランスの捜査官によると、ドナテック(Donátek)はチェコ人の両方のためにレストランでカードの代金を払い、タイの反体制活動家への攻撃を行いました。

ドナテック(Donátek)自身はこれを否定した。「私はアルコールを全く飲みません。彼らは、ナイトライフに溺れて、どこか飲んでいました。私の知る限りでは、彼らは、どこかのバーで飲んでいて、誰かが因縁をつけてきた。それで彼らが手を出したということでしょう。残念ながら、彼らは私のせいにしていますが、それは全くお角違いです。」

成果なしの捜索

フランスの捜査官によると、ドナテック(Donátek)はタイの反体制活動家への攻撃の前に、2019年9月と10月に、2回パリにいた。1か月後、彼はボクシングの試合を組織するためにダニエル・ボカル(Daniel Vokál)とヤクブ・ホシェク(Jakub Hošek)と一緒にパリ来た。

「彼らはボクサーであり、レスラーです。私たちはもともと格闘技の試合を組織するためにそこに行きましたが、週末に「gilets jaunes」(Yellow Vests Protests = 黄色いベストデモ)がであったので、私たちはそれらの人々に会いませんでした。 」

ドナテック(Donátek)は、攻撃後に友人(の行方を)追跡しようとしたと述べた。彼はパリの警察とチェコ大使館に電話したが、失敗した。最初の(消息の)情報は72時間後に出て、彼はすでに飛行機に乗っていた。しかし、フランスの捜査官は彼の逮捕状を発行した。

「この人物は、2020年10月5日の欧州の逮捕状に基づいて、拘留されたことを認めます。しかし、裁判所は、当時、裁判前の拘留請求を認めず、そのまま身柄引き渡し手続き(釈放手続き)が行われました。」と警察幹部会のスポークスマンであるカテリーナ・レンドロバ(Kateřina Rendlová)はチェコラジオに語った。

彼によると、現在、ドナテック(Donátek)に対して欧州の逮捕状は発行されていない。発行されれば、警察は州の要請に従って行動するだろう。

スタニク(Staňek)のメダル

今年、ドナテック(Donátek)は、CSSD(チェコ社会民主党)の元議会防衛委員会副委員長のアントニーン・スタニク(Antonín Staňek)からメダルを授与された。彼は、ドナテック(Donátek)がフランスで裁判にかけられていることを知らなかったと述べた。彼はラジオに彼が武道に関する彼の功績のためにメダルを授与したと語った。

「彼は武道道場を設立し、23年以上にわたって、その組織を率いてきました。そこでは国際的なインストラクターとしても働いています」とスタニク(Staněk)は語った。

Prima TVは、2年前に、ドナテック(Donátek)が、日本の侍レースで他のチェコ人と並んで成功した後、彼に関する記録を放送した。

ドナテック(Donátek)はプラハのジャーブリツェにKasumi Dojo(霞道場)を設立し、そこで武芸を教えた。たとえば、元ポルノ俳優のロベルト・ローゼンバーグ(Robert Rosenberg)やMMAファイターのイリー・デニサ・プロハース(Jiří Denisa Procházka)カがここでトレーニングを行っている。 ドナテック(Donátek)によると、タイの反体制活動家への攻撃を組織したり、関与したという証拠はない。上訴が予定されている。

主要登場人物

以下、報道記事に登場した主要人物の情報です。

Petr Donátek ピーター・ドナテック

(フランスのAum Neko襲撃事件の指示役)

Kasumi Dojo Z.S. Samurai School

Květnová 48, Prague, 18200, Czech Republic

P. +420-228-885-035

E. info@kasumi-dojo.cz

U. www.kasumi-dojo.cz

FB. https://www.facebook.com/kasumi.dojo/

Maha Vajiralongkorn King_Rama_X マハ・ワチラーロンコーン ラーマ10世

(ドイツ バイエルン 在住)

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Vajiralongkorn

Katerina Rendlová カテリーナ・レンドロバ

(チェコ警察 幹部会 広報官)

P. +420-974-834-233

E. pp.okvv@pcr.cz

https://www.policie.cz/clanek/policejni-prezidium-odbor-komunikace-a-vnejsich-vztahu.aspx

まとめ

今回は「諜報機関と探偵」連載第2回として2019年のフランスの亡命タイ人襲撃事件と日本とのリンクについて解説しました。次回は、カルロス・ゴーン逃亡事件についてお届けします。

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