CIA関係の調査会社が偽電調査で法的トラブル

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Misrepresentation

偽電調査は司法妨害

ErgoというCIAに関連するニューヨークの調査会社が、Uberからの依頼案件で、偽電調査を行った為、法廷闘争に巻き込まれています。

Uberは、元顧客とUberのカラニックCEOの反トラスト訴訟(Meyer v. Kalanick)に関連し、Ergoという調査会社を雇い、原告側の弱みを調べる調査を依頼しました。

元CIA職員のErgoの役員である調査員は、「アメリカにおける労働問題専門の弁護士のプロフィール作成のため」と称して、原告の弁護士の直接的な関係者多数に対し偽電取材を行いました。

不審な人物からの電話が原告にまでかかってきたため、原告の弁護士はUber側の弁護士に不審な電話との関係性を問いただしました。最初は否定されましたが、後に裁判所が、Uber側に、調査会社との連絡状況を開示するよう命じました。

裁判官は、虚偽を述べて不当に情報を入手したことは、司法妨害に当たるとコメントしています。

7件の取材調査で調査料金はUS$19,500

訴訟サポートの案件として、約10日間の期間、最低7件の取材調査を行うということで、US$19,500の調査契約が締結されました。

実際には28人の関係者に連絡が取られましたが、これだけの数連絡を取ったことが案件全体を悪化させた原因かもしれません。

我々調査会社としては、ある程度の偽電調査はやむを得ないと考えます。他には内偵調査と称されます。

これは顧客の保秘義務を遵守する為でもあり、被取材者にうまく話しをさせる為でもあります。これは聞き込み調査の基本的なことです。

しかしながら、創業者はNSC(国家安全会議)の元職員であり、役員の多くは元CIA等の関係者ではありますが、Ergoはどちらかというと警備会社か法人情報調査会社で、探偵業のライセンスを取得していません。今回はあまりにも多くの関係者にコンタクトを取り過ぎた事で、原告側に大きな問題にされてしまったのではないでしょうか。

Ergoに探偵ライセンスがないことは、あまり報道されていませんが、たぶん、このことも問題を悪化させた原因のひとつではないかと思っています。

いかしながら、このような案件が全て司法妨害とされてしまうとなると、聞き込み調査等をどのように行えばいいかわからなくなります。

Uberが元CIA職員を使って訴訟相手を調査していたことが判明

How Uber secretly investigated its legal foes — and got caught

FYI

調査や諜報活動において、身分・目的のカモフラージュはよくあります。こうした欺騙作戦は、アメリカでは”Pretexting”、イギリスでは”Blagging”と言われています。大きなくくりでは、ソーシャルエンジニアリング(Social engineering)、ソーシャルハッキング(Social hacking)と言われる場合があります。

軍事・刑事捜査用語では「欺騙」という用語が使用されます。欺騙(ぎへん、英語: deception)は、自らの意図と能力を隠匿するために相手に誤った情報資料を計画的に与える作戦行動です。

諸外国のスパイ活動の中での欺騙活動については以下の記事があります。

諸外国による兵器技術・情報の収集活動等と我が国の対策
情報機関員は身分欺騙をするのが常態で大使館員、通商代表部員、マスコミ、. 経済、科学技術、学術・文化団体等の身分を利用して活動している。特に科学 … おいて生起した5件のスパイ事件はいずれも大使館員、通商代表部員にしたロシ

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